2017年2月26日日曜日

東北大震災・復興プロジェクト・スペシャルトーク@ハーバード・デザインスクール

東北復興、石巻川の上プロジェクトについてのスペシャルトークをハーバードGSD(デザインスクール)にて開催
(English Follows)




これは、不動産とデザインの融合を軸にした自身のProfit Oriented活動とともに、重要なライフワークの柱であるNon for Profit Oriented活動のひとつ。


まちは、従来型の不動産開発だけでは決して面白くはならず、ボトムアップ型の市民活動によるパブリックプレイスがあってこそ、魅力的なものになると考えている。

とくにこれからの日本の都市ようにシュリンキングしてゆく場所においては。



今回幸運にも自身の手がけたコミュニティセンターと復興プロジェクトのあらましをハーバードでプレゼンする機会を得られたので共有しておきたい。



復興団体の「川の上プロジェクト」事務局長であり長年の同士である三浦先生がハーバードGSDにいらしてくださった。

石巻・川の上プロジェクトの詳細についてはこちら



講演タイトルは

Learning from Tohoku, Japan: Disaster Recovery and Community Design
- A case Study of Ishinomaki Kawanokami Project-



















スペシャルトークにはハーバード学内外からも様々な分野の学生達が集まり、真剣に耳を傾け、そして内容の濃い議論が交わされた。

デザインスクールからは地方再生や災害復興をデザインで解決しようと励む学生、都市開発と災害について研究する学生、都市計画を志す学生が集まり、ケネディ政策大学院やタフツ大学からは現役官僚の方々、そして建設業界から政策を学びにくる方々が集まった。

後援いただいたJapan GSDの皆様もあらためて感謝申し上げたい。












総勢20名、三浦さんがコーヒーのお供に仙台から持ってきてくれた萩の月も、一瞬でなくなる笑








ディスカッションの中でとくに盛り上がった項目やコメントは下記


・ボトムアップでの巻き込み、チームの力の重要性
・地元の有力者と若手混成チームの取組み手法
・その他地域、日本以外に適用可能なモデル
・東北は震災がきっかけで立ち上がった。では他の疲弊した地方は?
・「講」と呼ばれる相互補助システムが機能した。
・講はCo-workとして現代でも通用するのでは。
・百俵館のデザイン手法を地域にも広げる。










何より、人のちから、デザインのちからで復興とともにコミュニティが醸成されている成果を、この場で発表し、議論できたことを一日本人として誇りに思います。
世界に広がれ!川の上モデル!!




川の上プロジェクトのハーバード発表を記念しての一枚









Welcome to Harvard Miura san, the leader of the Kawanokami recovery project in Tohoku, Japan!


We were grateful to have pretty much diverse 20 students from all over Harvard GSD, HKS and Tufts Univ. We made a presentation on the process of the recovery, workshop and community planning. Also, had vibrant discussions with talented students. Special thanks to Japan GSD for their support.
Surprisingly, the Japanese sweets which Miura san brought from Tohoku, Japan vanished fast!


I would like to share thoughts and points made in our discussion.

- Significance of the bottom-up approach and team work
- Implementation by the mixed team comprised of local leaders and youthful powers.
- Applicable model to other areas both in Japan and worldwide
- The disaster became the trigger for them to revitalize, then how about other shrinking area in Japan?
- Mutually dependent system named "Co" worked very well
- The concept "Co" can be interpreted as Co-work in our time
- Design scheme of Hyappyokan is worth spreading among the area



On top of that, as fellow Japanese, We were very much proud that this wonderful opportunity allowed us to share our achievement through the project with Harvard community.

Hope the Kawanokami model inspires the world!!!





スペシャルトークの成功と充実した学生との議論の後はお約束のJohn Harvard Brewery




2017年1月30日月曜日

1st semesterの振り返り

怒涛の1st semesterが終わり、その後家族のケアや自身の東京でのプロジェクト、アジアトレックの関係で投稿が遅くなってしまったが、あらためて整理のために振り返りを行っておきたい。

以下、1st semester全4つの授業についてそれぞれの成果と達成できたこと、2nd semesterも継続目標のこと、気付き等々を記しておきたい。また、公開可能な範囲で最終成果物もアップロードしておくので、どうぞご自由にご覧ください。また、使用希望の場合はメッセージかメールにてご連絡をいただいた場合は許可をします。著作権は筆者に属しますので無断転用、使用はお控えください。




1) Real Estate Finance and Development by Richard Peiser
この授業の集大成は、不動産開発とファイナンスの基礎理論を組み合わせて、不動産開発プロジェクトのピッチを一からつくりあげ、投資家向けのプロジェクトレポートにまとめるというもの。

敷地の選定からプロダクト・タイプ(不動産用途)、ファイナンス・ストラクチャーや投資出口を含め、すべて各自で設定し、オリジナルのプロジェクトをつくりあげる。僕の場合は自身のTokyoでのMicro Mixed Useプロジェクトを取り上げた。

現実に進行するプロジェクトであることで内容が具体的になることと、国際基準での投資レポートをつくってみたいという想いから選定。Peiser教授からもクラスメイトにとっても学びの多いプロジェクトとなるため、是非進めるようにとの後押しもいただいた。

Final Submissionはこちら 

結果的にはフルスコアをいただけた。今回のプロジェクトピッチの作成は米系コンテクストの中で客観的に自身のプロジェクトを分析し観察することができたため、非常に有用な成果物となった。
2016 fall semester中、最もハードなクラスだったが得られるものも当然大きかった。
はっきりいって、この手の授業が日本の建築学科、都市計画学科にあるべきと思うし、総合大学に設置されている建築系大学院には是非ともMBAとのコラボ含め、クラスの設置をお願いしたい。


成果としては下記:

・英語環境での不動産ファイナンス、開発の基礎づくりを行うことができた。
・ハーバードの特徴であるケース・メソッドに慣れることができ、また得られるものも大きかった。
・Peiser教授からULI書籍の翻訳について、進めてみてはどうかという許可を得られた。実際に翻訳を行うには日本の出版社からの許可も必要であるため、営業活動に移りたい。


継続課題としては下記:
・引き続き、ケース・メソッドでの議論により積極的に関わるための英語スキル磨き
・不動産ファイナンスの実務に向けた知識の精査
・小技ではあるが、エクセルのモデリング時の使いこなし法の取得

以上。





2)Form + Finance by Bing Wang & David Gamble
Real Estate and the Built Environmentの学科長であるBing Wang教授の目玉授業である。最終成果物として建築のデザイン(Form)と不動産ファイナンス(Finance)の両側面から考案したプロジェクトを3人一組のチームで創り上げ、発表する。
クリティークはBing Wang教授をはじめ、David Gamble先生、HBSからはWilliam Poorvuが参加し、実業界からも3名が参加するという錚々たる顔ぶれ。

僕等のチームは、MITに隣接した敷地を選定。
現在、NovartisやファイザーといったBio techがMITやハーバードとのコラボ目的で広大なコーポレートキャンパスを築いている環境に隣接する。現在は使われていない工業用倉庫を活かして、コミュニティホテル、SOHO、トラディショナルオフィス、Co working スペース、そしてレジデンスへとコンバージョンするプロジェクトだ。
チームメンバーのバックグラウンドも非常に面白い。

一人は中国大連出身のコーネル大学のホテル学専攻でJLL東京オフィスのインターン経験者
もう一人はレバノン出身のエンジニアで実家がホテルを経営、ドバイでも働いていた

この顔ぶれから、建築系バックグラウンドは僕のみで、あとは基本は企画やファイナンスのバックグラウンド。それぞれメンバーが忌憚のない現実的なアイデア発信や議論が行えるため、現実味のある充実したプロジェクトとなった。

Final Presentationはこちら

クリティークからのフィードバックも非常に熱い議論となった。特にミクスト・ユース用途については、この近辺のホテルニーズやポテンシャルを考えて、あえて用途をホテルに絞るのがよいのではないかという議論も出た。確かにプログラムや投資判断もシンプルになる。しかし、あえてミクストユースへのコンバージョンに挑戦したことで、知見も深まったし、これから都市部での有休不動産の活用ではミクスト・ユースという観点が欠かせないと考えている。

他のチームの発表もどれもよく練られており、非常に刺激になった。面白いのは、大半のチームがCo Workingをコンポーネントに取り入れていることだった。やはり、時代のニーズを反映しているものと思われる。

こちらも日本のデザイン系大学院には是非取り入れてほしい授業の1つだ。この視点があればこそ、不動産業界に入る学生にクリエイティブな視点を与えることができるし、設計業界に入る学生にとってはデベロッパーや投資家の判断基準がわかるため、効果的な提案が可能となるだろう。




成果としては下記:

・フォームや用途がどのように不動産に付加価値を与えるかを習得できた。
・不動産投資プレイのさわりを理解できた。Core, Core+, Added Value, Opportunistic


継続課題としては下記:
・William Poorvu氏の主宰するコンペへの提出が冬休み期間のAsia Trekと重なりできなかったため、来年は挑戦したい。

以上。





3)Real Estate and City Making in China by Bing Wang

このクラスは個人的には自分の研究テーマを定め、そして深めてゆくうえでも最も役立った授業だ。学科長Bing Wang教授の指導が非常に明快なことと、アジアと米国のコンテクストに熟知している彼女だからこその視点がありがたい。
僕のテーマは
「Challenges in International Real Estate Investment in China」

いわゆる成熟マーケットで地位を築いてきたデベがなぜ新興都市に進出するか、そしてそこで遭遇したチャレンジと乗り越えた方法を明らかにする。
ケースとしては、森ビルの国内六本木ヒルズ、そして上海のShanghai World Financial Centerとの比較、また鹿島による虎ノ門タワーズと瀋陽春河地区開発の比較、またShui on LandによるHong Kongの開発と上海新天地プロジェクトの比較。

最終論文はこちら

このファイナルペーパーは結果的に、教授からもHigh Passをいただき、今後さらに研究を継続することを強く薦められ、僕としてもCross Boarder Investmentを将来的には行うことを見越しているため、目下継続中である。このペーパーを通じて、森ビルやアジアの投資ファンドとの繋がりもでき、ある意味では道を開いてくれた頼もしい成果物となった。

成果としては下記:

・国際投資、とくに新興市場におけるリスクとリターン、判断に関わる知識の習得
・中国において政府と民間、海外勢がどのようにinteractionしてきたかを理解
・自身の今後の研究の骨子が見えてきた
・デベや投資ファンドと対話するための基本知識が得られた


継続課題としては下記:
・25ページのペーパーだったが、Literature Reviewについてはさらに広く文献をあたり、レビューをしっかりと行いたい。
・ペーパーを執筆する上での英語のライティングスキルの向上を目指したい。

以上。





4)Cities by Design by Peter Rowe and Alex Krieger
名物教授二人による授業であり、毎度語られる都市デザイン講義は聞いていて、とてもワクワクするものだった。
また、各都市のセッション後にはチームプレゼンがあり、学生が都市デザインの歴史やプラン、実現された都市空間についての調査報告を行う。

僕は上海チームだったが、都市デザイン学科の学生や他のMdesの学生とも共同作業ができ、ディスカッションも盛り上がったため、非常に楽しめた。
テーマは上海のSuper Tall Buildingが集結するPudong, Lujiazui地区の近代の変遷と現在の都市空間の成功と影。

プレゼン中、上海と東京の都市空間の比較や問題点指摘をしてみたものの、東京はアメリカ人にとっては混沌とした状態や雑踏に凄みを感じるらしく、東京の問題点である職住分離による多様性の欠如などは認識していない様子だった。

最終プレゼン、自身のパートはこちら



成果としては下記:

・都市デザインにおける基本知識を米系文脈の中で理解できた
・都市環境の事例と成り立ちを知ることで、今後どのような観察眼を持つべきかを理解


継続課題としては下記:
・都市デザイン領域は定性的な判断や成果が多いため、切り取る側の視点やスタンスにどうしても引き寄せられてしまう。定性的な観察と定量的な観察をどう組み合わせてゆくかを探求する必要がある。

以上。



写真は学期の無事の終了を祝してのアフタヌーンティ@ボストン公共図書館。教授と学生を囲んでの和やかな一時であり、お互いの健闘を称え合った。



2016年11月8日火曜日

Mid-term 終了!

先々週にFirst Semesterの山場だったMid-term期間(テストや課題中間提出)が終了した。
米国スタイルの授業やAssignment(課題または宿題)について行くので精一杯だった今学期の前半が無事に終わった。

我が不動産デザイン学科はポストプロフェッショナルということもあり、ネットワーキングを行うイベントが、毎週のように開催されていて、学生は皆、学業に励む傍らで精力的にネットワーキングに出かける。
不動産は「ロケーション、ロケーション、ロケーション」と言われるが、同時に、「ネットワーキング、ネットワーキング、ネットワーキング!」なのである。皆社会人経験があるので社交に長けた同級生が多く、本当に刺激になるし、お互いに誘い合うので自然と実業界、アカデミア問わずにネットワークが広がることが嬉しい。

各授業とも濃密かつ集中力が必要なので疲れ果てるが、その後にはネットワーキングに出かけ、一杯飲んでリフレッシュ、また図書館に戻りAssignmentをこなし、リーディングを行い、場合によってはグループワークを深夜まで続ける日々が続いた。

慣れない環境の中で最初の山場となるMid-term期間を勉強仲間とともに乗り切れたことに今は何より、安堵している。Semesterの折り返し地点を無事に通過といったことろか。

僕のMid-term戦歴と学びを備忘録として記したい。


1)Real Estate Finance & Development
Mid-termは2つ。ファイナンスモーゲージテストと不動産鑑定評価課題(Appraisal Project)

まずは我らが不動産デザイン学科の必須授業であり根幹の1つであるクラスのファイナンスモーゲージテスト。つまりは不動産デベが資金調達する際に銀行からいくらを、どれくらいの金利で、どのくらいの期間借りれば、プロジェクトが成り立つかを計算するテスト。またDCF法や投資評価指標の基本も抑えるテスト。

日本での不動産投資では見てこなかった指標や手法も身につけることができ、不動産ファイナンスのメカニズムの基礎を理解する上では非常に役立ったテスト。
ただし、相当にハードなテストであることは間違いない。満点を取れる学生は毎年2人程度とのことで、今年も例年どおりとのこと。自身の感触は80%あたり。


次に不動産鑑定評価(Appraisal Project)。これはグループで行うプロジェクトで、ボストンの特定のエリアと不動産を選択して、その不動産評価を行うもの。
このプロジェクトに上記のファイナンスの基礎知識を応用しつつ、最終的な不動産評価レポートを作成することが目的である。実際の街が対象なので、色々な意味で盛り上がる。
自分が投資家なら、レジ系にするかリテール系、はたまたAクラスオフィスを投資対象とし選ぶか。。

我々はチーム自体が多国籍ということもあり、各国に帰ってもマーケットや扱い方に共通点があるレジデンス系を選択。下記に最終レポートの一部を公開する。

マクロ、ミクロレベルでのマーケット・トレンドの調査から始まり、実際の物件訪問、比較対象物件の調査を経て、最終的にスプレッドシートを作成。DCF分析まで至る。
DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)で明らかになるのは、その物件が自分たちの期待する投資を満足するためには、一体いくらで購入する必要があるか?というもの。
物件取得後から物件売却までの収益を、期待する利回りで現在価値まで割り引くのだ。

チームワークにも恵まれ、学びの多いプロジェクトとなったし、この指標如何によって不動産のデザイン余地などにももちろん影響するわけなので新たな武器を手に入れた感じだ。
こちらは結果が出揃い、我々のチームはほぼフルスコアを獲得することができた。

ボストン、ノースエンド地区をプロジェクトに選んだ

マクロ、ミクロレベルでのマーケット分析

対象物件の調査

Comparable(比較物件)の調査と比較

DCF法による分析


2)Real Estate and City Making in China
一般的にリサーチ・セミナー形式と言われるこの授業は少数精鋭で中国新興都市におけるリサーチを各学生が行い、Mid-termにその成果を授業で発表する。
Bing Wang教授と二人三脚でリサーチを行い、約1時間の持ち時間の中でクラスに対してリサーチを共有することから、さながら学生個人が授業の一部を行っているようなものだ。

僕にとってもほぼはじめての英語での長時間プレゼンだったし、リサーチもボリュームが多かったことから、Mid-termの山場の1つであった。

僕のリサーチテーマは「Challenges in International Real Estate Investment in China」だ。
以前から興味のあった分野で、新興都市で如何に我々日本企業が不動産開発や投資を軸としながらも都市生活の創造に貢献できるかを探るものだ。
「Why do we invest in China?」というシンプルな問いかけを軸に、中国に投資してきた森ビルや鹿島のケーススタディをもとに、そのチャレンジと成功、そして困難をどう乗り越えたかをあぶり出す。


森ビルの例では上海ワールドファイナンシャルセンターと六本木ヒルズのオフィス棟を比較しつつ、簡易な投資対効果等を比較した。

鹿島の例は担当だったこともあり、瀋陽でのマスタープラン策定から端を発した、VankeグループとのJVによる分譲マンション事業の採算と、虎ノ門タワーズレジデンスの採算を簡易試算をもとに行った。

結果は統計や実経験に基づいたケーススタディが好評で、クラスのメンバー、そして教授からもポジティブなフィードバックがいただけた。英語でのプレゼンではあったものの、プレゼン英語を極力シンプルで伝わりやすいもので一旦組んだうえで、当日はテキストを読まずに、自分の言葉で話せたこと。そもそも統計やケーススタディの組み立てを明快に出来たことで研究内容がストレートに伝わったようだ。

今後の研究についても、このテーマを深掘りしてよいとの快諾を得られ、はじめての充実感を味わった。

以上が山場となったMid-termと振り返り。


2016年11月1日火曜日

伝説の授業 Lecture with the Legend

ハーバードビジネス・スクール(HBS)の不動産系授業で30年以上に渡って教鞭をとってきた伝説の教授をご存知だろうか。もちろん、実業家としても数々の成功を収めてきた人気教授。

William Poorvu氏だ。

我がデザインスクールの不動産学科でも領域とカレッジを超えた数々の授業が提供されるが、この日は僕にとって特別な日だった。

Poorvu教授が我が不動産デザイン学科で、彼得意のケーススタディをもとに教鞭を取る日だ。
実はPoorvu教授がHBSで教鞭をとっていた人気授業が書籍となって約9年前に日本でも翻訳本が出版されていた。


この翻訳本は、不動産の実在プレイヤーがどのようにゲームを組み立て、創造性をもってコマを進めていったか、あるいは脱落していったかが活き活きと表現されている。
僕がちょうど大学院を出たころに手にした本で、不動産から建築デザイン、都市デザインをリードしてゆくという活動のきっかけを与えてくれた非常に重要な本の1つだ。そしてあっという間に9年の月日が流れていたことに今更ながらに気づき、驚いた。

授業は、事前に与えられたNew York CityのBattery Park CityについてのケースとBoston Fan Pierについてのケースを読み込んだ上で、自分なりの比較を行い、検討し、判断を下すものである。

poorve教授を囲む生徒。もちろん各学科の先生方も我先にと参加する。


実際にそれぞれのプロジェクトは不動産事業として、段階的な紆余曲折を20年間におよび、経ながら、光と影の部分を包含し、今の姿へと至っている。
その中で、各段階で関わったプレイヤー(デベロッパー、金融、行政、パートナー企業、テナント、地元)がどのように行動し、その結果どういう事態が引き起こされたかを描いていて、ケースを読んでいるだけでもドラマのようである。

クラス内ではPoorvu教授が、あるき回りながら、次々に生徒を指してゆき、プレイヤーとしての判断を求めてゆく。そしてさらにWhy? and Why?と答えを追求してゆき、プレイヤーの心理や感心=Appetiteをあぶり出す。
そして、実際に各プレイヤーが取った判断や行動を最後に紹介する。

印象深かったのは、不動産の大きな潮流を考えるうえで、教授の示すタイムフレームである。

「10年のマーケットサイクルと5年の人間の記憶のサイクルで不動産は動いている。」

という金言だ。

確かにここ20年の不動産のサイクルを見ても、また長期的な不動産開発プロジェクトにおいてもこのサイクルが当てはまるし、不動産自体が人間の生活や成長の受け皿である限り、このサイクルから逃れることは難しいだろう。

次のサイクルは2018年あたりなので、それまでに諸々準備をしておきたい限りである。

熱狂覚めやらぬ中で、時間切れとなり授業自体はあっという間に終わってしまったが、授業後に早速、Poorvu教授に9年前に購入した訳本を握りしめ駆け寄った。
そして、自身が不動産の魅力に気づくきっかけを与えてくれたことへの御礼を述べ、固く握手を交わした。

教授も日本語版を出したときのことを思い出して喜んでくれたことはよかった。
もちろん、サインをいただき記念撮影。
感無量である。

不動産開発に対する、深いが直球でシンプルな洞察や「Why?」を問い続ける姿勢、そして実業家としても数々の成功を収めてきた師から学んだことを、これからの活動に是非活かしたい。

Poorvu教授とともに。快く訳本のサインに応じてくれた。


2016年10月20日木曜日

ハーバード合格への道 その1 概要編

そろそろ今年度末アプライ組は気合いも入り、各大学へのアプリケーションプロセスへと本格的に突入する時期かと思う。

ここで、投稿をわけて自分自身のアプリケーション・プロセス(受験)を振り返りつつ、TIPSを残しておきたいと思う。

これは自分や、留学中の周囲の日本人が感じる危機感からくるものである。
ここ最近、日本人留学生の数が激減し、逆に想像はつくと思うが中国や新興国からの元気で優秀な学生に押されて、日本そのもののプレゼンスが下がってきていることを実感するからである。
もちろん必然のことではあるが、我らが不動産デザイン学科は設立当初依頼、自分で二人目の日本人という寂しさ。。新興国出身者や名だたるキャリアの持ち主からは最も人気のある学科の1つになりつつあるにも関わらず情報が上手く伝わっていないようにも思う。

是非、後に続く方々に少しでも有用な情報を提供し、そして少しでも日本のプレゼンスやスピリットを広めてもらえる方々が活躍してもらえるよう、一役を担えればと強く思う。

提供できるTIPSとしては下記

留学に合計3年を要し、2度目の再挑戦となるハーバード・デザインスクールからの合格を勝ち取った自身のケースからの有用と思われるTIPS

1度目には棄権となってしまったフルブライト奨学金を、幸運にも2度目の挑戦でもいただくことができた経験から、フルブライト奨学金取得に関する心構え


まず、挑戦校とその結果を下記に簡単に示す。

【1年目アプライ時】
・ハーバードデザインスクール、都市計画学科(Master of Urban Planning):Rejected
 (Harvard Graduate School of design, 以下GSDと略す)
・GSD、都市デザイン学科(Master of Architecture in Urban Design):Rejected
・GSD、デザイン研究学科、都市とランドスケープ学科
 (Master in Design Studies, Urbanism and Landscape):Waiting List
・コロンビア大学建築学科、都市計画学科(Master of Urban Planning):Rejected
   (Columbia, Graduate School of Architecture Planning and Preservation 以下GSAPP)

一年目は晒すのもはばかられるほどの身の程しらずで、たまたま勢いで取得できてしまったフルブライト候補生としての地位を捨てないためにも、フルブライトの合格が出た12月頭から大急ぎで準備をしてアプライをしてしまったのがこのザマ苦笑

反省点としては、そもそもキャンパスビジットをしていなかったことで各学科に対する理解が深まっておらず、エッセイが一般的なことになってしまったこと。
また、もちろんだが、TOEFLとGREの点数が出揃っていなかったことにある。さすがにフルブライト候補生としての下駄履かせがあるとしても、今から考えれば当然の結果。


【2年目アプライ時】
・同じくハーバードGSD、デザイン研究科不動産デザイン学科
 (Master in Design Studies, Real Estate and the Built Environment):Accepted
・GSD、都市計画学科(Master of Urban Planning):Rejected
・GSD、都市デザイン学科(Master of Architecture in Urban Design):Rejected
 ※第一希望が通った場合、Dual Degreeを希望しない限りGSD内の第二希望以降はRejected
・コロンビア大学GSAPP、都市計画学科(Master of Urban Planning):Accepted
・同GSAPP、不動産学科(Master in Real Estate):Accepted(Dual Degree)
・MIT 都市計画学科(DUSP):Rejected
・MIT 不動産学科(Center for Real Estate):Waiting List
・カリフォルニア大学バークレー校都市計画学科(CED):Rejected
・ペンシルバニア大学都市計画学科(Penn Design):Rejected

という結果となった。同時にフルブライト奨学生として二度目の挑戦にも関わらず支援をいただけたことは、いくら感謝しても足りない。



【アプリケーション・プロセスTIPS概要】
まずは2度のアプライを経て、自分なりに実感したTIPSと先輩やメンターから得た有用なTIPSを俯瞰しておきたい。
ズバり、アプリケーションで提出が求められる各マテリアルの優先順位である。

第一位
間違いなくエッセイ。これがアプリカント(受験者)の人物像を測るうえでの根幹となるものである。
自分を見つめ直す機会でもあり、本当に自分にフィットした学科を探るうえでも重要な思考過程。はっきり言ってこれには最低でも半年をかける必要があると思う。
「根幹」という言葉を使ったが、つまりはこの「あなたのストーリー」を1パラグラフ読み、興味があれば、他のポートフォリオなどのマテリアルをさらにチェックする。といった具合だそう。

根幹のストーリーを審査側は主軸に読みながら、候補者の人物像が学科にフィットしているか、学科の研究や人的リソースの充実に貢献できそうかを中心に読みつつ、
・そのエビデンスとして「才能=ポートフォリオ他」を見て納得し、
・「インテリジェンスがあり授業に着いてこられるか=TOEFL+GRE」をチェックし、
・その人物像や活動を裏付ける「後見人の意見=推薦状」に目を通す。
・最後に学科全体の多様性を考慮して「履歴書、業務実績」を総ざらいする

といった審査方法を取るとのこと。


第二位
ここは最低限抑えておきたい試験系、TOEFLとGRE、またある程度のGPA。
最低スコアはあるもののPreferred Scoreというものが各大学に存在する。このラインを超えれば審査の中で有利になるとはいかないまでも、足切り対象やマイナスの要素にはならない。
巷の情報ではまことしやかに、エッセイやポートフォリオがよければ、あるいはフルブライトが取れれば一発合格といった情報が流れているが要注意。
入学後に教授とも話したことだが、日本人の授業に対する貢献度、つまり発言力が低いことがネックとなり、学科側がたとえ日本人をDiversity(多様性)の観点から取りたいとしても、取れないとのこと。

自分もTOEFLとGREには苦労したが、勤勉な日本人が本気でコツコツやれば必ず突破できる定量的なものなので、是非Preferred Score以上でアプライしてもらいたい。
TOEFTやGREに関するTIPSや勉強法は追い追い公開予定。

GPAについては3は越える必要がもちろんあるが、限りなく4に近いからといって他にタレント性がなければマイナス要素にはならないくらいと予測される。


第三位
キャンパスビジットを通じた「相思相愛」関係の構築。
ここでこの話題を第三位にもってくることは以外かもしれないが、2度の挑戦を経てこの「相思相愛」関係を感じることができるかどうかは鍵だと思う。
一年目はキャンパスビジットもままならないまま、WEB上でのみのアプライとなってしまった反省を活かして、二年目は例年11月に集中的に行われる各大学のオープンハウスに徹底的に参加してきた。
とくにオススメしたいのは、突然アナウンスされる教授とのオフィス・アワーズへの飛び込み参加である。通常大学の教授は授業時間とは別に何でも相談OKの保健室の先生に似たオフィス・アワーズと呼ばれる時間を設けている。
教授によっては、一対一で学科について聞いたり、自分を売り込むことも可能なので、是が非でもトライしてもらいたい。自分も拙い英語ながら勇気を振り絞って現不動産デザイン学科長のオフィス・アワーズが突如開催されるとのことだったので、迷わず一番乗りでアサインし飛び込んだ。

コツとしては教授とタイマンで話す前に、オープンハウスで知り合うだろうお目当ての学科の先輩と英語で話しておくこと。自分の場合は今では恩人である先輩のJoshとGSDのカフェテリアで自分の思いを英語で伝え、Joshから学科についての特徴を英語で教えてもらったことが強力な推進力となった。

実はフルブライトでエッセイをある程度はまとめていたこともあり、言いたいことが50%は固まっていたことも功を奏した要因。こういった効果もあるため、フルブライトや日本財団などの奨学金には是非応募しておくことをオススメする。

面白いことに、結果的に入学してみれば、オープンハウス時に顔を合わせたメンバーがやはり合格を勝ち取っている。皆、晴れ晴れとしたいい顔をしている。つまりはキャンパスを実際に訪れ、教授と話して確信をもって入学してきているからだろう。


第四位
ここにきてポートフォリオを第四位にあげておく。
これは通常のアドバイスからすると、デザインスクールなのだから、ポートフォリオ(作品集)の優先順位は一位か二位ではないのかと思われるかもしれない。ただ、正直いってトップスクールのデザイン系学科を目指す人たちは、それぞれ高いレベルでデザイン分野で勝負してきた人たちだと思う。グラフィックやまとめ方も心得ているので、ポートフォリオ勝負となれば圧倒的に日本人は有利だと思う。だからこそ、ここは自然についてくる分野として認識しつつ、さらにその高みを目指して欲しいし、他の要素で足切りされるというもったいない事態は避けておきたい。

敢えてポートフォリオ作成時に気をつけるべき点をあげるとすれば、第一優先順位でも述べたエッセイを視覚的に裏付けるものである必要があるということ。
自分の場合は、エッセイの中で都市をよりよくするために必要な視点として、事業を主体とした不動産と、営利に関係ない活動から醸成されるコミュニティプランニングが必要であることを訴えた。そして自身の活動を通して、その着想を得つつ思考作度し、行動してきたことを具体例で示した。
つまり必然とポートフォリオもこれに沿ったプロジェクトの紹介となる。

デザインがいくら得意でも、エッセイとまったく関係ないプロダクトデザインや一単体のかっこいい建築をポートフォリオで提示しても意味がないことを理解してほしい。自分自身も1年目に大敗を喫した後で先輩にポートフォリオを見てもらって叱咤激励をいただきはじめて気づいた点である。


第五位
自分の実績や活動、人となりを証明してくれる推薦状。
ポイントはエッセイやポートフォリオで紹介するストーリーがある場合は、その活動の後見人となってくれた人物や、活動を裏付けてくれる人物から推薦状をもらうこと。
バランスを取りつつ強固な推薦人陣営とするならば

1人目:仕事先の上司、もし各学科出身者がいれば尚良し
2二人目:大学時代の教授 一人〜二人
3人目:NPOや課外活動などユニークなバックグランドを証明してくれる人物
4人目:おそらく必須ではないが、奨学金がとれた場合はその責任者からの推薦状

あたりかと思う。
推薦状はおそらく自分で英作文することになるかと思うが、是非エッセイでは盛り込みきれなかったストーリーや人物像を強化する実績や賞歴を入れるといい。
エッセイでこのあたりの賞歴を披瀝するのは、憚られるが、推薦人からのコメントであれば強く響く。


第六位
CV/Resume、いわゆる英文履歴書。
先にも述べたとおり、エッセイで読み進めるうちに人物像は伝わったものの、候補者自身のプロフェッショナリティや他の生徒への貢献や刺激を与えうる実績の持ち主かどうかを証明するために重要となる。
特にハーバードは多様性を重視するので、CVから読み取れるバックグラウンドを加味しつつ毎年の学年にとってバランスのよい学生構成を目指す傾向にある。
我らが不動産デザイン学科の場合、デザイン系バックグラウンドの学生が約6割、ファイナンス系その他のバックグラウンドが約4割といった具合の顔ぶれとなり、お互いに刺激しあえるようにCVも見ているようである。

一枚に収めることは基本だが、同時に東日本大震災関連のNPO活動経歴や鮨職人である、賞歴がある等々、特異点がある場合は是非簡潔に盛り込むべき。


以上、概要編だけでもかなりのボリュームとなってしまったので、更なるTIPS紹介はその2に回すこととしたい。




2016年10月19日水曜日

ショッピング・ウィーク&今学期履修科目決定

今学期(Fall semester)最初の3週間ほどは、どのカレッジでどの授業をとるかを学生が聴講し、見定める期間で通称ショッピング・ウィークと呼ばれている。当然のことながら、ポストプロフェッショナル・コースの我々はより実務に近い授業を選択する傾向にあるし、この手の授業はデザインスクールはもとよりビジネス・スクール、ケネディ政策スクールに相当数が設置されている。

実際に人気教授の授業はショッピング・ウィーク中は様々なカレッジから優秀な学生が「試聴」しにくるし、その間にネットワーキングが行われることもしばしばである。

大きく分けてデザインスクールの授業はスタジオ系とレクチャー系に分類される。スタジオ系はこれから建築設計やランドスケープデザイン、都市デザインを学ぶ学生が各教授の指導するスタジオという単位のもと、実際の作品製作を行う形式である。
ハーバードデザインスクールの校舎であるGund Hallのひな壇状スタジオ教室は有名で、見渡すかぎり、そこかしこでクリエイションが行われている。レクチャー系は、各専門領域の教授による講義形式、もしくはケーススタディやフィールドワーク形式によるもので、特にケーススタディ形式はHBS発祥のハーバード流教育を象徴するレクチャー形式である。
Gund Hallのひな壇状スタジオ教室 クリエイションや議論が昼夜問わずに行われる



自分のFall Semester履修授業は下記と方向性が決まった。
それぞれに概要と、ショッピングウィークを通しての自分なりの到達目標を記しておきたい。
(自己の整理のためにも長文になることをご容赦いただきたい。)

1) Real Estate Finance and Development by Richard Peiser
不動産ファイナンスと不動産開発の基礎理論を習得する授業
不動産デザイン学科の前学科長であり、名物教授であるRick Peiserによる授業。必修の授業ではあるものの、分野横断的に意識の高い学生があつまり、クラスのキャパを越える学生が殺到している。ただし、不動産開発の主軸となるファイナンス理論を扱っているため、宿題(Assignment)の量が半端ではなく、文字通り半端な気持ちではついてゆけない授業でもある。
6 functions of $1という基本概念からスタートし、最終的には不動産開発に関わるものには必須の不動産評価手法や資金調達理論、プロジェクトのキャッシュ・フローを習得する。また毎週紹介されるケーススタディは、どれも実際のプロジェクトの中で経営者が不動産事業の判断をどう行うかを鮮やかに描いており、その中で習得したスキルと想像力をもとにどう判断するかを学生に問いかける。
ケースを読み込むだけでももちろん相当な時間を要するが、得られるものは大きい。また、追って紹介するがStudy with Legendという、HBSで30年以上に渡り名物教授と名を轟かせた教授とのケーススタディ授業も含まれる。

自分の到達目標としては、国際水準で通じる不動産ファイナンス理論の基礎を身につけること。また不動産開発に関わるTerminology、つまり専門用語を英語で使いこなせるようになること。またケーススタディを通して、デベとしての直感や判断基準を養うことにある。
Urban Land Instituteでも活躍するRick Peiserの語り口調は非常に明快で、また彼のULIから出版されている書籍も非常に有益な内容であるため、機会があれば翻訳にチャレンジもしてみたい。
以上。

名物教授、Rick Peiser 今日の1ドル、将来の1ドルが利回りとともにどう振る舞うかを6通りに紹介


2)Form + Finance by Bing Wang & David Gamble
建築のフォーム、不動産ファイナンススキームがお互いにどう作用(interaction)するかを探求する授業。
現学科長であるBing Wangによる授業である。こちらも、Bing Wangの明快な説明と導きにより、人気を博している授業である。デザインバックグラウンドの学生には不動産ファイナンスの知識を与え、不動産開発をよりクリエイティブにするための力を与える。逆に不動産や金融バックグランドの学生には、不動産開発においてクリエイティビティがどう付加価値(Added Value)を生み出せるかといった視点を与える。
都市デザインのプロであるDavid Gambleも加わり、Charrettes(シュレットと発音)と呼ばれる授業内での即席設計課題が出される。面白いのは、3人程度でこの課題に取り組むのだが常にファイナンス系とデザイン系が混ざったチームで取り組む。つまりシュレット内で常にデザインとファイナンスの議論がなされるわけである。その後、一斉に各グループの即席課題を貼り出し講評会が両視点から行われる。
宿題は毎週ユニークなものが出され、デザイン、ファイナンス両方のセンスを鍛え上げるための腕試し的なトレーニングが行われる。最終的には培った両センスを元にファイナル・プロジェクトといって1つの不動産事業を構想する。

自分の到達目標としては、デザイン、ファイナンス両面からのディスカッション能力の基礎を身につけること。不動産に付加価値を与えるフォームの幅を成功事例をもとに広げておくこと。可能であればボストン周辺で実行しうる開発や自分の好みである開発手法を探っておく。以上。

Charrettsの例 湖畔の再開発を即席で作り上げる


3)Real Estate and City Making in China by Bing Wang
こちらもBing Wangによる抽選形式のリサーチ型授業。抽選形式(Lottery)とは、授業のキャパが方針により決められれているため、ショッピングウィーク中に履修希望者の中で抽選が行われ、当たった学生が優先的に受けられる授業形式。
この授業は12人程度とかなりコンパクトな授業であるものの、米国、アジア双方の学生からの人気が高い。自分は中国瀋陽で仕事をしていた関係から、中国を始めとする新興都市での不動産投資と都市づくりにどう貢献できるかを研究したいことから履修を決定。リサーチベースで各学生が毎授業で小一時間のプレゼンテーションを行い、ディスカッションをBingがリードしながら行う。
ゴールは25ページ程度のファイナルペーパーを自分のテーマに沿って仕上げる。毎週リーディングを消化したうえでのディスカッション参加が求められるが、とくにプレゼンターとなる学生は統計や人口動態、ケーススタディを組み込んだ作り込まれたプレゼンを用意し披露する。プレゼンの道筋やリサーチマテリアルをBing氏もしっかりとサポートしてくれるので、学術領域に進む大学院生には特にオススメである。

同じく到達目標としては、リサーチベースの研究手法を米国水準でマスターする。中国を中心とした新興国での不動産投資に関わるチャレンジとリスク、成功要因をケーススタディを引用しつつ明らかにする。(そっくりそのまま自分のファイナルペーパーとなりそう)  英語でのディベート力を身につける。以上。


4)Cities by Design by Peter Rowe and Alex Krieger
アーバンデザイン学科とランドスケープ学科学生向けの名物授業であり、米国の都市デザイン分野では第一人者のピーター・ロウとアレックス・クリーガーの授業である。
各都市がどのように歴史の中でその様相を変えながら、その都市デザインが変遷してきたかを研究する授業。今学期の研究対象都市はボストン、イスタンブール、ベルリン、バルセロナ、上海そしてクエートである。いづれも今まさにホットな都市であり、イスタンブールは東京と2020年のオリンピック招致を最後まで戦った盟友といったところである。
(東京が入っていないことに、日本のリードタイムがほぼ切れかけていることを感じてもらいたい。)
各都市の専門家である都市デザイナーがそれぞれの都市についての歴史や都市デザインを紹介し、学生数人を単位としてさらに都市研究を行い成果を発表する形式。ピーター・ロウが的確に実体験やジョークを交えながら議論をリードする人気授業である。余談になるが、フルブライトの大先輩であり推薦状を書いてくださった元港区町の原田敬美先生の恩師でもあるピーター・ロウから直々に薫陶を受けられることは感慨深い。

到達目標としては、各都市の成り立ちと都市デザインのバリエーションを習得する。特にボストンのグリーンエメラルドとよばれる緑のネットワークやBig Digと呼ばれる高速道路地下化と緑道整備の一大プロジェクトに対する見識を深めておく。これは自分が日本橋地域でテーマとする首都高速再編の活動にも将来活かすつもりである。また、アーバンデザインの学生やランドスケープの学生とのコラボレーションを通じて、才能ある都市仕掛け人達との繋がりをつくっておきたい。



以上が今期の履修科目。GSDを越えてビジネス・スクールやケネディ政策大学院の授業もショッピングを行ったが履修は来学期に見送り。最初の学期は環境に慣れることと、そもそも不動産の知識を英語で入れることを集中すべきと考え、アドバイザーであるBing Wangとも意見が一致したために、この判断がベストと考えた。

たかが4授業!と思われるかもしれないが、上記に記した通り内容の濃い授業に加えて大量の課題があり、かつ自分の語学力のなさを思い知らされるため、全く寝る間がない。週末は必死こいて未消化分を潰す。しかしネイティブにとっても分野横断的な課題が多いので、必然的にお互いを助け合うためにもスタディグループが形成される。このスタディグループの仲間が掛け替えのない財産でもあるのだ。

ハードな課題をともに戦うスタディグループ、つかの間のビア&オイスター



2016年9月17日土曜日

ハーバード・オリエンテーションウィーク

9月前半はハーバードの各カレッジ(デザイン・スクール、ケネディ政策大学院、ビジネス・スクールをはじめ全カレッジ)の入学式およびオリエンテーションウィークで大学全体が賑わう。
ハーバードのリソースをとことん使い倒すためのインストラクションが一週間ほどつづく。

ハーバード・ヤード


我らがデザイン・スクールであろうとも、かならず強調されることは
"Networking, Networking and Networking!"である。
とくに国際色豊かなデザイン・スクールでは様々な国からの留学生とネットワークを作ることができる。もちろんカレッジを越えて、ケネディ政策大学院(HKS)やビジネス・スクール(HBS)へネットワークを広げて未来のビジネスパートナーを見つけることも可能である。

デザイン・スクールの大講義室 Piper Auditorium


自分の所属する不動産開発コース、Real Estate and the Built Environment(通称REBE)は建築や都市のデザインと不動産ファイナンスや起業家論を組み合わせて、各人に合わせたコース構築が可能であり、かなりの裁量を個人に任せられている。
当然、ポスト・プロフェッショナルと謳っているだけあって、学生総勢28人とも様々な国で実務経歴のあるメンバーが揃っている。まさにダイバーシティだ。簡単に列挙すると以下のような属性構成。


①建築デザイン系バックグラウンド:隈研吾オフィスで働いていたモナコ人、モーフォシスで働いていたパナマ人、藤本壮介オフィスで働いていたカナダ人、北京系建設会社で働いていた中国人、イギリスのアトリエ事務所で働いていた英国人、メキシコのコングロマリッドで働いていたメキシコ人その他建築系学位取得者が6割り程度

②ファイナンス系もしくは不動産系バックグラウンド:米国系外資金融とプライベートファンドで働いていた中国系アメリア人、米国系有名コンサルで働いていたインド人、エジプト人、韓国系米国人、不動産コンサルで働いていたアメリカ人、ホテル産業系で働いていた中国系米国人が3割り程度

③エンジニア系バックグラウンド:ニューデリで働いていたインド人、ドバイで働いていたレバノン人が1割り程度

ダイバーシティがかなり意識された構成であり、学生の選定基準も多様性に重きが置かれているとのこと。当然、各国の特徴を紹介し合ったりしつつ、各国各都市のビジネス・マーケットなどについても活発に情報交換が行われる。まずは訪れたこともない都市の不動産マーケット情報や商習慣の生の声が聞けるのは非常にありがたい。学部上がりが少ないので、留学中もネットワーキング・パーティを皆で楽しむのがREBEスタイルだ。

デザイン系バックグラウンドとファイナンス系バックグラウンドの人間がともに勉強に励む中で、何かが起こらないわけがないのである。早速、東京へ投資したい。あるいはエマージング・シティ(新興都市)へのビジネスの可能性についての活発な議論が夜な夜な続く。

また、他のカレッジとの交流会も開催され、自分にはなかった視点や概念が次々と美酒とともに頭に流れ込んでくるのである。
美しい夕日に染まるチャールズリバーを見ながら、酔いしれるオリエンテーションウィークである。