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2018年5月27日日曜日

サマー・インターン (その2 実践編)

前回に引き続き、実践編として、サマー・インターンでの経験や学びについてまとめておきたい。

Asia Real Estate Trekが提供してくれたサマー・インターンへの門戸を開き、実際に働いてみるために、早速行動を開始した。

実は、外資系金融(GS、Morgan Stanley、JP Morgan etc)やコンサル系(ボスコン、マッキンゼー)は、早速一年目の秋に開催されるボストン・キャリアフォーラムでインターンが決定されることが多い。
これは海外からのサマー・インターンが卒業後の採用を決めるうえでの登竜門となるからだ。

僕の場合は、まだ不動産を通じてのヴィジョンを広げたい時期だったし、様々なオプションを見ておきたかったのでボストン・キャリアフォーラムは見学する程度に留めた。ただし気づきも多く、いわゆるReal Estate Private Equityについては少数精鋭で中途採用が多いことから新卒に重きをおいているボスキャリで有用な情報を得るにはいたらなかったのだ。
逆に自分の意志を固めるうえでもよい機会だった。ネームバリューによらない仕事の仕方をしたいということ。即戦力として責任ある立場でのコミットメントがしたいこと。そして自身の行っている建築と不動産活動を加速してくれる仕事であること。


話は戻り、早速Trek中にネットワーキングできた各社Managing Directorと、面談やランチのセッティングをさせていただき、結果的にMorgan Stanley Capital KKとAngelo Gordon & Co LLC、Phoenix Property Investorsからサマー・インターンのオファーをいただいた。

実際にはMorgan Stanley Capital KK (MSC)にて約10週間、Angelo Gordon(AG)にて2日間のインターンを行った。

各企業の特徴は(その1応募編)で記載した通り。
言えるのは各3社のMDは皆、リーマンショックを経験し、なおかつ今でも組織をリードしているため、非常に人格者であり、そして大胆さと慎重さを併せ持っていながら気前がよい、ということ。またそれぞれに投資に対しての得意な戦略があるというのも面白い。



応募についてのTipsは下記
・一年目で習得したProforma構築スキルを表すマテリアルを先方と共有する

・Investment Memoを作成した資料を共有する
(特にRick PeiserのFinal Projectがよいだろう)

・ランチはチームとの相性を図るもの。態度をはっきりと決めてゆくと同時に自然体で

・Aqiuisition、Fund Raising、Asset Managementなどのチームの役割を頭に入れる

・インタビューは英語と日本語両方なので、どちらでも答えられるように

・コールの場合は立って電話するのがおすすめ。ポジティブな気持ちが伝わる



Morgan Stanley Capital KK(MSC) 編

具体的に関わったディールの名前は挙げられないので、概要のみまとめておく
ちなみにディールの最中はコードネームで呼ばれている。
MSCの特徴はAquisitionチームとAsset Managementチームが別れていてそれぞれ10人と15人程度、またバックオフィスから構成される。



各ディールの流れは下記(REPEほぼ共通)
Underwriting→ICOMM(投資委員会プレゼン)→Acquisition→Renovation or Conversion→Lease out→Property Management→Disposition



・某ホテルのリノベーションとブランド誘致
40年以上経つかなり古びたホテルを買い取り、耐震改修を行いつつ、全面階層を行い、海外ホテルブランドを誘致するディール。
Total Capitalizationは約60MM USD。当然ながら建築系バックグラウンドを活かすべきプロジェクトだったため、充実感を持って担当させていただいた。

・某ショッピングセンター
近郊都市の駅前に位置するショッピングセンターのアセットマネジメント段階。改装も同時に行いつつ、いかに有力なテナントを目標賃料で誘致するかが鍵。
Total Capitalizationは約80MM USD。アセットマネジメントチームの中で動かせていただきつつ、リーシングと管理がいかにディールの中で大切か、そして機会創出についても実は「床」の動きを追いかけることで、発見できるものがあることを学ぶ。

・某社宅、オフィス、賃貸住宅ポートフォリオ
都心部および核都市における混成型のポートフォリオ構築のためのUnderwriting。こちらは初めての本格的なAcquisitionに向けたUnderwritingを担当させていただき、異常にエキサイティングな投資委員会も経験させていただいた。各物件をポートフォリオに入れるか否か、どういったリスクをとるのか、どのアップサイドの可能性を見るのかなど、様々な視点を学ぶ。

・Final Presentation
こちらは、各インターン生が最終日に経過の成果を発表するうえでも重要となるプレゼンテーション。僕の場合は以前より興味があり、自身でも実践していたModern Disruptorとの協働の可能性についてまとめた。いわゆるAirbnbやWeworkを保有不動産で展開した場合、ということだ。集大成としてInvestment Memo形式でまとめることができたため、Morgan Stanleyとの共同研究のような形でいい成果が出た。ただし、実際にMSCのファンドに組み込むとなるとVolatilityが高かったり法的グレーゾーンが多いこと、またCapital Marketではまだこういった投資商材が確立されていないため、まだ実践に組み込むこと難しい判断だった。


Angelo Gordon & Co. LLC(AG) 編

こちらも具体的に関わったディールの名前は挙げられないので、概要のみまとめておく
こちらは短期間での経験となったため、今までのディールで実際につくりあげた物件を東京近郊に限ってツアーガイドしていただきながら、また少し建築的視点からのAdd Valueについて関わらせていただいた。また、ボストンに戻ってからもメールベースでのヘルプを行った。
AGのチームの特徴はなんと言っても少数精鋭。そしてアウトソース先と上手に連携しながら、Add Value思考のディールを得意とする。各ディール・オフィサーはMy Baby Projectという表現にみられるように、全ての面倒を自身の最良により見る。


プロパティ・ツアーでは代表的なディールである3物件を回った。どれもAGの投資フィロソフィーを示す非常に面白い事例だ。

・都内某商業ビル
プランテックとともに外装も一新し、そして道路付けを少し変更してのテナント面積確保というウルトラCを行った物件を始めに見せていただいた。
こちらは、以前の仕事場にも近かったこともあり、じつは知っていたビルだったが、このリノベーションに、こういったファンドのメカニズムが働いていたことを今となっては理解できるのが有り難い。

・都内Class A超高層オフィス
こちらは某デベロッパーによる有名なビルでリーマンショック前後の取引により、様々なファンドの手に渡った。こちらのエントランス部を大々的にリノベーションし、さらに飲食店を誘致しやすいように動線なども変更。
最終的には非常にいいPerfromanceのディールだったとのこと。

・都内繁華街に位置する小規模商業ビル
こちらも外観内装ともにかなりのリノベーションを行っており、実際に新築のような様相まで呈している。テナントの総入れ替えを行いながら目標賃料まで持っていったとのこと。

・建築的Add Value
また、現在検討中との再開発用地について、総合設計によるValue Upが見込めるかどうかの検討を担当させていただいた。こちらは実際に再開発となると出口がデベロッパー等になることから、このPerspectiveがAcqisition段階で見通すことができれば、相当のアップサイドシナリオとなることになる。ここはゼネコン設計部出身者としての腕の見せどころである。

最終的にはどちらの組織も、チームのほぼ全員と実際のディール、ランチやディナーを通じてじっくりとお話させていただい、それぞれのカルチャーやディール・オフィサーのあり方についての違いなども理解でき、これ以上にない有意義なインターンとなった。

インターン前にRickやApeseche、そしてHBSのNoriのクラスを取っていて本当によかった。そこで習得した技術や考え方が、インターンの入り口からビシバシと役立っていた。これら不動産デザイン学科での学びと、現実世界のディールの一端を担えたことで、見えるものがよりクリアになった。
この機会を与えてくれた各社のMDは僕にとってはもはやMentorであり、今後も大切にしたい繋がりである。心から感謝を申し上げる。






2018年5月26日土曜日

サマー・インターン (その1 応募編:Asia Real Estate Trek)

米国での大学院留学を、より充実したものにするためには周知の通り、自分のVisionに合ったサマー・インターン先の確保と、そこでの実践経験習得がものを言う。

もちろん、ハーバード・デザインスクールにおいても例外ではなく、まさしくサマー・インターンでの経験とネットワークが卒業後の進路も決めることになる。

デザインスクールの多様に富んだ学科から、世界中のトップデザイン組織、企業や官庁へサマー・インターンへと出かける学生が、ひと夏を終えて一段と成長してくるのだ。

不動産デザイン学科の場合は特に、設計や施行、デベロッパー側からファイナンス側へとキャリアチェンジを試みる学生が多いため、サマー・インターンへの熱の入れ方も真剣そのものとなり、時には非常に厳しいコンペに晒されることになる。

僕の場合も例外ではないが、今回の留学でのサマー・インターンについては、その前提としてクラスメートの盟友、Samと主導した、ハーバード伝統のAsia Real Estate Trekのおかげで有り難くも、非常に充実度の高いサマー・インターンを経験することができた。

各方面への配慮から、次なるステップがはっきりするまでは、インターンの内容などについて、公にできない情報が多かったため、遅ればせながらではあるが、下記にAsia Real Estate Trekとともにまとめておきたい。


Asia Real Estate Trek (サマー・インターンへの登竜門)

このTrekは僕とSamがPresidentを務めたハーバード不動産デザイン学科のAsia Real Estate Associationが主催する、不動産系、投資系企業の訪問と知見の拡大を目指した新興アジア都市を中心とするTrekだ。
もちろん、トップ企業への訪問が多いことから、このTrek自体がサマー・インターン先とのネットワーキングと応募に大いに役立つことは想像に固くないだろう。

米国で不動産を専攻する場合は、参加を強くおすすめしたい。
実際に僕の場合は3つの企業からオファーをいただき、また他に5名、すぐにインターン先を決定した。

また、他にもNew York TrekやWest Coast Trekなどがあり、こちらもGoogleやWework、Airbnb、Related Companyなどの錚々たる企業を回れるため
おすすめである。留意点としてはVISAの問題から米国内企業へのインターンは需要と供給がマッチせず、米国外学生には少々不利なところがあるということだ。

Trekのメンバー構成は、総勢約20名程度を枠とし、ハーバード大学(デザインスクール+HBS)、MIT、コロンビア大学、コーネル大学などの学生から選抜されたメンバーが集まる。

ちなみに、毎年50名程度の応募があるため、レジュメや志望動機の本気具合、そしてチームへの貢献度などをもとに結構厳し目のスクリーニングがある。











僕が久しぶりの不動産学科における日本人だったということもあり、今回のAsia Real Estate Trekは、もちろんTokyo Partを組み込んだ。

東京の都市開発、マーケット、企業を知ってもらいたいという想いもあったし、僕自身、東京に不動産開発をテーマとして、どういうプレイヤーがいるのか、業界のランドスケープを見渡すためにも、是非とも行っておきたかった。

各都市で訪れた企業は下記の通り、デベロッパーから不動産投資会社(いわゆるReal Estate Private Equity)、ブローカーやコンサル等バラエティに富んで豪華だ。

各都市3日程度で移動も含めて、3都市合計で10日間の濃密な旅程だ。


香港 Part

・Blackstone
・Gaw Capital
・Phoenix Property Investors
・Swire Group
・Angelo Gordon Hong Kong
・CBRE Hong Kong
・KKR
・AEW Capital Management
・Hong Kong Land
・Oak Tree Capital

もちろん、各都市ごとにその都市をリードする出身者が、夜な夜な威信をかけたMixerを開催する。同じ企業を違う都市で廻っている場合も、違う部署を訪問しており、また都市によって全くマーケットが違うため、得られるものが被ることはない。














香港を皮切りに、連日の企業訪問とMixerを経験しながら、チームが出来上がってゆく。各企業からプレゼンテーションを行っていただき、それに対してのディスカッションやQ&Aが繰り広げられる。もちろん学生は皆前のめりなため、時間が過ぎても質問とネットワーキングのために充実した時間となる。

各企業の名前は聞いたことはあっても、実際にそのマーケットで何をしているのか、ビジネスドメインは何なのか、ディールや作品はどういったものがあるのか等、生の(First Hand)な話が聞ける機会はそうそうない。

香港パートの特徴はなんといっても、その国際性にあるだろう。
特に、Real Estate Private Equityは元気がよい。業務自体は英語で、広東語も使えると有利であることは間違いないが、近年のマーケットの中心が東京から香港に移動しつつあるため、国際性がますます高まっている。

トレック参加者のJob Huntingにおける一番人気都市は紛れもなく香港だ。国際性や言語的バリア、法人税や企業誘致力といった点では東京は3歩ほど劣っているというのが正直なところである。

MixerはSamの手引きにより、旨いHong Kong料理と、そして独特の世界観のあるClubだ。Work Hard, Play Hardである。


上海 Part

・Value Retail
・JLL Shanghai
・Shui On Land
・Fuson Group
・SOHO China
・Vanke China
・Tishman Speyer























SOHO Chinaが手がける複合開発からPudongエリアのSuper Tall Towerを望む。

まさに魔都、上海。中国市場の場合は不動産投資会社やReal Estate Private Equityにくらべて、過去10年に渡って勢力をつけてきたPre Saleを行うデベロッパーが圧倒的な存在感を放つ。

開発物件も案内していただきながらのプレゼンテーションは圧巻であり、スターアーキテクトを起用した様々な開発が目白押しである。上海のMixerもHong Kongに負けじと激ウマの上海料理でもてなしてくれる。




東京 Part

・Goldman Sachs Asset Management
・Goldman Sachs Realty Management 
・Morgan Stanley Capital KK
・Angelo Gordon Tokyo
・Mori Building + Mori Foundation
・Mitsui Fudosan
・Mitubishi Jisho
・CBRE Japan
・Nikken Sekkei






東京パートは今回が初の試みであったが、幸いにも様々な方面の方々にネットワークをご紹介いただき、錚々たる企業の方々とのMeet Upが実現した。

3都市目となる東京についた頃には、チームビルィングもしっかりとできており、各人がそれぞれのバックグラウンドと持ち味でチームをリードし、また企業訪問時の質問の純度も上がっていった。

業界全体のランドスケープをしっかりと掴みつつある頃合いであり、各プレイヤーがどのような事業形態をとっているのか、強みや弱みなども含めて一応の理解がついてきたからこそ、企業訪問の意味合いも一層高まっていた。

東京は訪問者にとっては開発し尽くされている印象だそうで、また三井不動産や三菱地所、森ビルといったデベロッパーの事業規模は、世界にも類をみないものである。

特に森ビルのプレゼンテーションは圧巻の一言で、そして開発手法からエリアマネジメントに至るまで、考えつくされた長期的ビジョンに基づく開発には一同感心をしていた。また中国出身者には上海環球中心(Shanghai World Financial Center)を森ビルがリスクを取りながらも創り上げたことで、知るものも多かった。


Goldman Sachs(AM、ASSG、Realty)やMorgan Stanley Capital KK(MSREFFで有名)、Angelo GordonといったいわゆるReal Estate Private Equity(REPE)はManaging Directorの方々から直々にプレゼンテーションもいただき、非常に有益な時間となった。各会社ごとに全くことなるカルチャーが面白い。


これは各企業のファンドが取るリスクとリターン、得意とする投資スタイルの違いによるものだ。

いわゆる外資系不動産ファンドは、業界も狭いため、様々な人材の流れ方や裏話も聞けた。







GSはASSG(Asia Special Situation Group)とAM(Asset Managemtn)/Realtyでは、そもそも投資資金の拠出元が異なるため、投資スタンスが異なる。

ASSGはGSの内部資金を使っているため、リターンが出るものであれば、さまざまなものに独自で判断をし、積極的に投資をする。Distressから、星野リゾートとの合弁事業など有名なものから、太陽光など様々。口外できない内容が多いとのこと。

AM/RealtyはLimited Partnerから資金を募ってファンドを構成するいわゆるPrivate Equity。最近有名なものはMoxy Hotel TokyoとKyotoへの投資だろうか。また、こちらでも太陽光はほぼ1/3のAsset Under Managementを占めるという。その他はClass Aオフィスなど、コアからコアプラスのいわゆるミドルリスク・ミドルリターンの投資が主流。




Morgan Stanley Capital KKはいわゆるMSREFFとしてリーマン・ショック前にかなりの隆盛を極めた、ハイリスク・ハイリターン型のOpportunisticファンドの代表例であり、その頃はSWFCや日本中のANAインターコンチネンタルへの投資を手がけていた。
現在もリーマン・ショックからの痛手を埋めつつV字回復し、業界をリードしている。近年ではPrime Asiaと呼ばれる長期ミドルリターン型のコアファンドも設立している。

MSREFF卒業生には他のファンドで活躍する人も多数いる。Green OakやGSのASSG、Blackstone Japanなどさまざまだ。情報とネットワークが命のREPEでは非常に強みがある。



ユニークなのは、香港Partで初めて知ったAngelo GordonというPrivate Equityで、GSやMorgan Stanleyと同じく米国発祥。もともとはDistress投資に強みがり、Distressの担保として不動産を獲得してゆくうちに急成長をしたファンドだ。

特にAdd Value投資が得意で、香港での事例や東京の近年のトラックレコードを実際に見せてもらい、知っているビルが結構あった。

オフィスからホテルへのコンバージョンを行ったり、歴史的建造物と融合させた商業施設を開発したりと、建築側からの発想によりAdd Valueをし、運用してゆくのが面白い。チームも少数精鋭で、ディレクターの言葉を借りれば、彼らのビジネスはPeople Businessであり、自分のディールはAcqisitionからUnderwriting、設計者選定やアセットマネジメント、そしてDispositionまで全て面倒をみるため、彼らからするとMy Baby Projectなのである。

日本では、Plantec AssociatesやGensler、日建設計や竹中工務店といったデザイン性と経済合理性を両立する建築事務所との協働が多く、またテナントもLVMHを入れたりと面白い。近年では青山ベルコモンズの再開発を取りまとめたことでも知られる。
また、数少ないGround Up Project、いわゆる開発案件も手がけるPEのうちの一つだ。東京代表はHarvard Collage出身者でありながら、京都大学院で建築を学んでいたというバックグラウンド。


Mixerは我が家での手巻き寿司パーティや、築地訪問、そして友人のレストラン(フレンチ焼き鳥)で舌鼓、もちろんカラオケなど、とにかく日本の食文化の豊かさに浸ってもらった。


このTrekがきっかけとなり、結果的にMorgan Stanley Capital KK、Angelo Gordon Tokyo、Phoenix Property Investors Japanからサマー・インターンのオファーをいただくことになったが、次回では応募やインタビュー、そのインターン内容について触れたいと思う。



2018年3月26日月曜日

ハーバード不動産デザイン学科におけるキャリアについて

無事に3セメスターやらJapan Trekが終わり、最後のセメスターに取り組むまでブログ更新が滞っていました。すみません。

このブログを読んでくださって、何人かの方々からも問い合わせをいただいたので、まずは留学におけるキャリアについて、僕のケースとクラスメートなどのことをまとめておきたい。(個人の回想的になっているので、将来は削除するかもしれません。あしからず)

自身のキャリアについて

僕のバックグラウンドは純粋な建築設計で、出身地である高知で叔父が家業としてアトリエ系の事務所をしている。もちろん自宅も叔父が設計したので、ごくごく自然な流れで建築家を目指すようになった。
艸建築工房(ソウケンチクコウボウと読みます)
http://www.sou-af.jp/

早稲田大学の建築学科、大学院(石山修武研究室)へと進み、意匠系の道を歩みながらも、やはり家業として設計業の良し悪しも感じながらの進学であったため、自身で建築を通じた社会的インパクトと持続可能な業について、悶々と悩み試行錯誤を学外では繰り返していた。

ひとつの出逢いは、大学の先輩である佐藤オオキさんが立ち上げたデザインオフィスnendo。
http://www.nendo.jp/

nendoの黎明期に目白の小さな事務所で奮闘するオオキさんやその仲間からデザインビジネスについて、First Handな経験を得るとともに、自身もデザインビジネスが好きであることに気付いた瞬間だった。

そして「10年後にしたいことが今あるなら、迷わず今行動することの大切さを思い知った、もちろん日本で出来なければ、日本を出てもいい」ことを。

その後、自身のデザイン事務所を興して、名刺一枚のデザインからブランディング、CIを行ったり、建築やプロダクトのデザインを行うなどデザインビジネスの試行錯誤をくりかえしていた。

転換期だったのはスリランカでのリゾートホテルの設計。
スリランカでの不動産開発を行う日本人に連れられて、たまたま叔父と親交があった建築家Geoffrey Bawa氏とのご縁も手伝って、現地入りし、取り組んだ仕事だった。
結局はその後のリーマンショックの影響や新興市場での不動産開発の難しさなどで、プロジェクト自体はSD Review賞をいただいたにも関わらず、ウワモノのお金が集まらず、未完のプロジェクトとなった。
ただ、この時に苦渋を舐めたことと、不動産開発についてのインスピレーションを得たことが今の自分につながっている。

「もし、自分自身があの時、クリエイティブな不動産事業者だったらどうしたか?」

この問いに応えるには、自分が不動産事業者になってみる必要があった。

その後はSD Review賞も手伝って、鹿島建設設計本部のコンペチームからオファーをいただくことになる。
コンペチーム後は都市計画グループという不動産開発とUrban Planningを国内外で実施するチームで厄介になった。
ご存知かもしれないがSD Review賞は鹿島のトップでもあり、鹿島出版会を盛り立ててきた鹿島昭一氏と槇文彦氏、そして代官山ヒルサイドテラスのオーナーである朝倉氏により立ち上げられた展覧会だ。

鹿島建設は、建設はもとより設計、不動産開発も行っていたため、上流から下流まで規模感のある不動産開発に現場レベルで関わらせていただき、大変貴重な経験をさせていただいたし、PFIやJVの現場レベルでの動きもなんとなく身につけることができた。

実は大手ゼネコンはバブル期には海外のデザイン的知識の獲得と開発スキームの導入のためにかなりの数の留学支援を出していた。僕の上司もその一人でGSDの卒業生だったため、いろいろとインスピレーションをいただいた。
だが、残念ながら僕の時期は社費留学などの制度がなかったため、奨学金を獲得する道しかなかったというのが正直なところ。
結果的にはフルブライトへの応募を通じて、想像以上に得られるものが多かった。フルブライトについては別投稿で詳しく書きます。

また、鹿島での仕事と平行して行っていたのが、スリランカ以来の不動産業へのリベンジだった。おかげで都内某所でいくつかの土地を仕込み、みずから銀行と交渉、設計をし、コンストラクション・マネジメントを行い、リーシングも行うといった、上流から下流へのオール・イン・ワン・パッケージを経験した。
最初のプロジェクトははっきり言って、毎日リスクと闘いながら寝られない日々が冗談じゃなく2年ほど続いたが、今となっては喉元過ぎればなんとやらである。

こういった事業性から建築や都市に対してアプローチする方法以外に、僕のもうひとつのテーマでもある非営利型の街づくり活動も続けていた。
石巻での集団移転コミュニティプロジェクトと拠点創出のためのプロジェクトだ。
http://kawanokami.com/

これらの活動がひとつとなって、時期も熟したと判断し、留学に踏み切った。


留学後のキャリアについて
ハーバード、不動産デザイン学科での授業内容やプログラム概要はすでに執筆した記事を参考いただくとして、では実際に学生たちはどのようなキャリアを歩むことになるのか、そして僕自身のキャリア形成についての考え方について記載しておきたい。

まず、不動産デザイン学科に来る学生はバックグラウンドが非常に多様で、ファイナンス出身、アトリエ出身、建設会社出身者がいることは書いた。

僕のクラスメートや前後の年代の卒業後キャリアは概ね下記

・デザインオリエンテッドのデベロッパー(Related Company, Gemdale, Hines...)
・デベロッパー/アーキテクト(DDG, ASH... )
・Private Equity(Morgan Stanley, Angelo Gordon, Blackstone, Goldman Sachs)
・アセット・マネージャー、ブローカー(Pension Fund, CBRE, JLL )
・コンサルタント(Boston Consulting..)
・起業(自国での家業、不動産業を拡大)
・その他テック系スタートアップ(とくに投資、ブロックチェーン関連)

この中でもPrivate Equityやアセット・マネージャーという業界が建築出身者、あるいは日本の不動産、ゼネコン出身者には馴染みがないのではないだろうか。
だが、実はこのキャリアが一番人気。

米国を中心とする不動産開発においては、じつはReal Estate Private Equityというファンドスキームが大きな役割を担っていることが事実であることを、恥ずかしながら僕もはじめて知った。
日本においてもリーマンショック前後にMorgan StanleyやFortressが様々な大型ホテルやビルを買収したことを覚えている方もいらっしゃるとは思うが、具体的に彼らのビジネスがどうなっていて、建築的Add Value、付加価値とどう関わっているのかを知れたのは不動産デザイン学科での授業のおかげである。

米国や香港を中心とする不動産投資のビジネスに透明性が高い市場では、Private Equityがスター・アーキテクトであるFrank GehryやRenzo Piano、安藤忠雄を雇って、攻め攻めのプロダクトを創り上げる事例もあるほど。そしてファームは少数精鋭のチームであることが多い。

僕自身が個人レベルで行っていた不動産オーナー件デザイナー業を国際的な文脈のもとにスケールするために欠けていたのは、このフレームワークだったのだと気付かされた。

では具体的にどうやって、このフレームワークを手に入れるか。

米国留学ではサマーインターン制度が非常に重要で、キャリア形成のための試行錯誤にとって貴重な機会でもある。もちろん大学の名前をレバレッジするなら、この機会である。

僕の場合は結果からいうとMorgan Stanley CapitalとAngelo GordonというReal Estate Private Equityで修行を積ませていただき、実際のディールにも関わることができ、自身の限界をかなりプッシュすることができた。サマーインターンのアプライ・プロセスや成果については別途。

この経験をもとに、卒業後の進路を現在固めているところである。
もちろんクラスメートも一流の企業でのサマーインターンを通して一回りも二回りも成長し、帰ってくる。そしてお互いに情報交換をし合うことで、さらに各業界でのキャリア形成についての理解を深めたり、人脈を厚くしてゆくことを留学生活後半に向けて続けてゆくことになる。

このPrivate Equityという手法をどう活用するか、構想はいろいろあるし、昨年から具体的に動きだしていることも含めて、また時期をみつつ発信してゆきたいと思う。