2018年4月19日木曜日

ハーバード合格への道 その2 フルブライト編

今年の合格者も出揃い、ハーバードデザインスクールではオープンハウスがあったりと、大学は出会いと別れの雰囲気に包まれている。

もちろん、Final Weekに向けて卒業を目前にした学生は黙々と研究を続けている。

さて、ハーバードデザインスクールへのapplication tipsを以前に自分なりにまとめたが、今回はそろそろ公募が始まるフルブライト奨学金のapplication tipsについてまとめておきたい。

まずはネットで様々なTipsが落ちているので、先人の知恵と記録を参考にしてもらいつつ、僕なりのTipsを共有できればと思う。
僕自身、1度目のフルブライト候補生時に第一志望からのwaiting listだったため、2度の候補生期間を経ての渡米だった。2回のアプライを行っているので、ある意味ではアプライのベテランとも言えるし、どうしようもなく手のかかる奴とも言える。2度も候補生として可能性を見てくれたフルブライトには感謝してもしきれない。

写真はフルブライト・エンリッチメント・セミナーのヒューストン大会の様子。世界70ヶ国以上から代表となるフルブライターが集まっての共同セミナーと貢献活動。
他の奨学金と併願する方々も多いと思うが、フルブライトプログラムは奨学金を得るという実質的なメリットよりも、さらに大きな権利とフルブライターとしての使命が漏れなくついてくる。是非、挑戦して欲しい。

ヒューストン、NASA宇宙基地博物館での記念撮影



















1)5月末 オンラインアプリケーション
要求されるマテリアルはそれほど強烈なものではなく、かつ聞いたところによると、基準を越えていればほぼ通過とのこと。

TOEFL 80以上
こちらは、現在スコアメイキングを始めたアプリカントも多いと思うので、80を越えてれば一応はパス

エッセイ・研究趣旨
自身の研究や活動を、さらに米国で続ける理由、そして研究計画をまとめる。
流暢な英語でのエッセイというよりは明快さと、地に足のついた実績、情熱が求められる。比較的短くA4一枚程度だったかと思うが、ここで骨子をまとめておくと、年末に向けてのスクールビジットやアプライ、インタビューに向けて、非常に有利。

トップスクールを狙う学生は、このプロセスを経るだけでもスタートダッシュが効くので是非取り組んでみてほしい。

オンラインアプリケーションの結果は6月の中旬頃に発表となる。


2)7月末 書類応募
オンラインアプリケーション通過の知らせを受け取る前から即時動き始めたほうがよいのが、この応募書類準備。
実はかなりの手間と時間がかかるので、タイムラインに注意しつつ、オンラインアプリケーションを送信した直後からの行動開始を推奨!

エッセイ
応募にあたり、エッセイ+研究計画書、合計A4約3枚を英語と日本語で執筆。
オンラインアプリケーション時のものを軸に、さらにブラッシュアップ。具体的な候補大学とプログラム名まで見越しての研究ターゲットが求められるので、各大学のWebサイトなどで下準備を行う。
米国アカデミアを通じて、自分が何をどのように研究し知識獲得し、日本に貢献できるかが重要。特に、候補大学での研究室や教授名がはっきりしている場合は書く。

ここでも、やはりなぜ米国なのか?日本ではダメ?欧州でもできるのでは?という疑問符に明快に応えられるように。

とくにフルブライトはひとつの研究分野に対して、原則1名と決まっているので、漠然と建築デザインと書いてしまうと、おそらく響かない。同様に漠然としたMBAも競争率が激しく厳しい。
僕のテーマなどを具体的に知りたい場合はFulbrightサイトでタイトルを見ていただくか、個人的にコンタクトください。

このエッセイを仕上げたことは僕にとっても自信となったし、面接に向けたスピーキングの基礎ともなった。


レジュメ
エッセイでは伝えきれない、自身のこれまでの実績や、Capabilityを示そう。
一般的な学歴や職歴もある程度納得感が必要だが、それ以外にも、どのようなSocial Impactを行ってきたか、などの内容が響くように思う。レジュメの書式に慣れていない人にとっても自分の歴史を見直すいい機会だろう。

賞歴、課外活動、熱中していることや非営利、ボランティア活動、自分のエッセイストーリーを強化してくれる人物像をクリアに示せれば、強力な武器となる。


推薦状
3通必要なのだが、このタイムラインで推薦状をスムーズに手に入れることが、結構難しいため、早めに動きはじめたほうがよい。
僕の場合は学術関係、仕事関係、そして非営利活動関系からの推薦状とした。こちらも、もちろん自身の各研究や活動の内容を補強してくれる、言い換えれば第三者として証明してくれる方々が望ましい。

TOEFLスコアメイキング
実はオンラインアプリケーションでは80点が足切りだったが、この時点では上記のエッセイに記載した候補大学に入るために最低限必要と思われる足切りラインがチェックされていると思われる。
たとえばビジネス・スクールであれば109点以上、GSDであれば96点以上(実際は104点以上は欲しい)など。

最終的に面接に呼ばれて、候補生としての仮合格を出すことになれば、その候補生が大学に受け入れられることを前提としているため、書類審査時である程度の安心感のあるアプリカントを選ぼうとする力が、もちろん働く。

この時点で点数の下駄を短期間で履かせやすいのは、ReadingとWritingだと思うのでエッセイ等に引き続き、ビシバシ書きまくってほしい。
また、Speakingもコミュニケーションに難がないことを示すためにも20は取っておきたい。なんせ最終ゴールはFulbrighterとしてMutual Understandingに自らリーダーシップを発揮して貢献することなのだから。

Speakingについて難がある人は、是非E4TGのDonaldを訪れてほしい。最低限3ヶ月、汗びっしょりになりながらついてゆけば20点は突破できるだろう。おそらくいろいろな意味で足切りとなる24点も何度かテストに挑戦すれば届くはず。

僕自身、Donaldに非常にお世話になったし、今でもE4TG時に習った根幹は生きている。

GPA
あまり足切りになることはないが、わざわざ卒業大学に出向いて、すべてのデータを引っ張り出し、サインしてもらい封をして、7通送付という手間がかかるため早めに動くべき。
特に大学は夏休み期間と重なっているため、間違っても7月末の応募書類郵送締め切り間際なんかに大学にあわててゆかないこと。5月末にオンラインを出し終わったら、速攻で母校の事務局に問い合わせることを薦める。

その他
もし、自分の研究分野で先輩としてフルブライト生として渡米している、あるいは帰国している方がいたら、エッセイをブラッシュアップし始める際に実際に会ってみる。フルブライターの人となりは大先輩から脈々と受け継がれているので、是非その考え方や人間性から、ヒントを感じ取って欲しい。ノーベル賞受賞者や教授、政財界にも先人たちはいるし、調べると結構でてくるので、自分の分野に近い方々に思い切ってコンタクトをとってみて欲しい。

僕の場合も建築系や都市計画系、そして元区長の方など自分の研究分野の方に貴重なアドバイスをいただくことができたし、本気でフルブライトに応募したいという想いを何度も確認できた。


3)11月末前後 面接
書類審査通過のお知らせと同時に突如通知されるのが、面接の案内。
11月前半から中旬にかけて、書類審査の合否とともにフルブライト本部(溜池山王)に呼ばれての面接の時間が通知される。

これについてのTIPSは、生々しくその日の状況を記載してくれているブログもあるので、参考にしてもらいつつ、自分なりの工夫などを伝えておきたい。

セッティング
フルブライト事務局方4名程度、専門領域の先生方4名程度の合計8名程度が面接室に登場する。質問を行うのは基本的に専門領域の先生方4名。ほぼフルブライター。

もちろん英語のみでの面接。時間は15分から20分程度。
自分の場合は和気藹々とした雰囲気からスタートしたが、すぐに具体的な研究内容の質問や実績の内容となった。


応募大学との相性確認
面接までの間にキャンパスビジットは必ずすべき。そしてアカデミック・アドバイザーとなる教授とも、会えるなら相性を確かめておこう。建築や都市計画などの専門領域であれば、かならずなぜGSDなのか?なぜこのプログラムなのか?と聞かれるので、各大学のプログラムの特徴や大学の雰囲気との相性も語れると強い。

また、面接といいながらも、みんな志をもって海外留学を目指すのだからと、素晴らしいアドバイスをくれたりもする。僕の場合は、営利と非営利型がバランスした研究が得意な大学とそうでない大学があることをアドバイスいただいた。

ハーバードはどちらかというと、「選べる」といったところ。ケネディ政策大学院との共同授業やUrban Planningとの共同授業を選べばPublic Benefitにどう貢献できるかという視点。ビジネス・スクールとの共同授業であれば、もちろん営利的視点で社会にどうインパクトを与えるか。だ。

それを考えれば、ひとつのDegreeではなくDouble Degreeを取ることで、自身の研究コアを達成出来る場合もあるという示唆。たとえばコロンビア大学も候補にしていた僕の場合はGSAPPのReal EstateとUrban PlanningのDouble Degreeの組み合わせなどだ。

なぜアメリカか?
再三聞かれる質問。エッセイでも書いたと思うので、是非具体的な自分のキャンパスビジットでの体験などを元に語ってほしい。自身の体験から語ることが地に足のついた発言やその先の情熱へつながるだろう。

ポートフォリオ
必須ではないけれど、僕の場合は建築系バックグラウンドということもあり、2年目の面接には印刷したポートフォリオを持参し、冒頭に手渡した。実際にその一年で石巻でのコミュニティセンター設計の実績などヴィジュアルに伝わることもあったため、自身のエッセイストーリーに沿っているものであれば、積極的に見せてよいと思う。

英語力、ひととなり
実は発音などはある程度、割り引いて見てくれる。それよりも明確にゆっくりでもよいから伝えたいことを正確に伝えることが重要。

それよりも大切なのがひととなり。
上記にも書いたが、自分の研究分野を通じて、その分野をリードし、各国からくるフルブライターとの相互理解を深めることができるだろう人材を欲している。あたりまえだが、自然な笑顔と静かな情熱を持って、夢を語ってほしい。

面接官は実は自分の研究を支えてくれる、よきメンターでもあり大先輩であり、同志でもあることを忘れずに。

自分の場合は、トリッキーなことを聞かれたとか、圧迫とかがあったというわけではなく、あくまでも専門領域の先生から研究に関する非常に誠実な質問やコミュニケーションがあったし、面接が終わったあとは、いいアドバイスをいただいたりディスカッションができたことへの感謝の念と爽やかさが残った感じ。
逆に自分を大きくも小さくも見せる必要がなく、この半年の思考錯誤を通じて自分の等身大とやってきたことを伝えられたことがよかったと思う。

フルブライターの候補生合格者オリエンテーションにゆけば、一目瞭然なのだが、それぞれの候補生が、各分野でリーダーシップを発揮し、そして人間的にも素晴らしい人ばかりなのだ。そういう意味でも面接前には、その空気を感じることはできないので、フルブライターの先輩方々に直に会って空気感を感じ取っておくことをオススメしたい。

面接の最初と最後には、心からの御礼を述べるべきだし、実際に自然とそうしたくなるはずだ。



以上、3段階でのセレクションが設けられ、そして半年に渡る非常に長いアプリケーションプロセスだが、12月初旬に合否結果が出た暁には、フルブライト候補生という地位が与えられる。
このフルブライト候補生という肩書は、実際に研究機関から受け入れが認められてはじめて正式なフルブライターとして渡米できるという意味だ。

ただ、もちろんフルブライド候補生という肩書は大学へのアプリケーションの際にある程度の効力を発揮するので、レジュメに書くことをお忘れなく。

お世話になったフルブライターの大先輩に大学への推薦状をお願いしてもいいだろう。僕の場合も、今でもメンターである、とある大先輩に一筆お願いした。

一人でも多くの方がフルブライターとして米国での研究を元に、日本のみならず国際社会で活躍して欲しいので、記事以上に必要な情報があれば是非気軽にコンタクトして欲しい。

フルブライトのデメリットと思われている1年のみのサポートや2年の自国滞在義務については、正直言って補って余りあるメリットが今は見えるため、心配しなくてよいと思う。
そういった条件面(支援額、自国貢献義務)でのみ物事を判断するアプリカントは見透かされているようにも思うし、そうではないリーダーたちが世界の相互理解に貢献するのだから。






2018年4月7日土曜日

Japan Trek 2018 by Japan GSD

ハーバードの各大学院は近年、研究と実地調査のためのフィールドトレックを日本で開催しているが、我らがJapan GSDも今年になってはじめて開催に漕ぎ着けた。
自身が代表を務めるJapan GSD、いわゆるハーバード・デザイン・スクール日本人会の皆の努力の賜物である。

そして我々を受け入れてくれた企業、教育機関、スポンサーの皆様には心から感謝申し上げます。


森ビルの都市模型 施設整備が進む東京を俯瞰することができる

日建設計でのセッション GSDの大先輩からもレクチャーを受けることができた

工事中の新国立競技場






来年も次期Japan GSDが引き継いでくれるので、興味のある方は是非ご連絡ください。

ジャパントレックの内容と成果は下記。

1週間のスタディ・ツアーであり、東京オリンピックに向けた施設整備やインフラ整備が進む東京を、各人の始点からスタディ・ツアーと企業訪問を通じて考察する。






訪れた拠点は概ね下記
・浅草
・秋葉原(メイドカフェ、ラジオ会館)
・皇居
・銀座
・代々木体育館
・豊洲エリア+築地
・新宿+都庁







スタディ・ツアーの最後2日間では東京大学にて「ポストオリンピック・パラリンピックに向けた100のソリューションを考える」と題したワークショップを行った。このワークショップで、日本の大学院生と高校生、アドバイザーの教授陣、研究者を交えて、ポスト・オリンピックに向けた約70個ほどの施設活用アイデアを練り上げ、発表。






これらの成果物は現在レポートに纏め中で、最終的には官庁、教育機関、そしてお世話になった企業やスポンサーに提供予定。
提案はインスタグラムで #gsdjapantrek2018 と検索して頂ければすべて公開されているので、是非ご一覧いただきたい。

4-5時間で成果物を出すという、かなりタイトなスケジュールだったが、新国立競技場とその周辺地域に関して、ハーバード生ならではの、様々な視点からのアイデアが出た。

都市計画的視点、インフラ、観光的アイデア、不動産的視点、外国人ならではの視点 etc





個人的な感想と後日談的に語っていたことでの気づきを纏めておきたい

・日本のプレゼンスが下がっていることへの危機感?
確かに相対的に下がっていることを感じるが、我々一人一人が伝道者となって、しっかりとリーダーシップを取ってゆけば、どんな人種であろうが着いてきてくれる。それを感じ、そして実践できたのは嬉しかった。


・日本の学生は内向き思考?
日本全体で見ればそうかもしれないが、ワークショップに参加してくれた世代やその関係者からすれば、僕が学生の時よりも遥かに国際化されており、またSNS等のおかげで情報もリーチしやすくなっており、海外での経験に貪欲と感じた。具体的にトレック後に何人かから留学やキャリアの相談もいただいた。


・わかりやすさ命
寿司を習っておいてよかった。とりあえず分かりやすいところから日本の良さを伝えて往く手段を皆が持つべき。同人誌はちょっと過激すぎてウケなかった笑
銀だこのテイクアウトはホームパーテイに最適で、評判もよかった。あと日本のビールは旨いとのこと。


・高校生
特に印象的だったのがRoute Hというベネッセが提供する米国トップ校を目指す塾からの参加高校生たち。国際感覚に優れ、質問力も鋭く、そして純粋。投げかける問題も素朴で核心をついたものが多かった。はっきりいって建築や都市計画に触れるのは大学生からではなく、もっと若い頃からでもよいと思っていたが、彼らを少しでもインスパイアできていれば嬉しい。


・分野横断領域的なことが必要
ハーバード・デザインスクール流の分野横断的思考が日本の建築学科にも必要。
都市、建築、ランドスケープ、不動産だけではなく、公共政策やビジネスといった観点。これからは日本の建築系大学院にもこれらの視点をあたえる、分野横断的な講座が必要不可欠だと思う。我らがJapan GSDのアドバイザーであるMark Mulligan教授が今年から法政大学で教鞭を取るとのことなので、盛り立ててゆきたい。逆に日本の建築学生は建築アイデアについては強いので、そこは誇れる。


Special Thanks:
〇ワークショップ講評&レクチャー:
- 小林博人 教授 (慶應義塾大学)
- 矢口哲也 教授 (早稲田大学)
- 千葉学 教授 (東京大学)
- 小林恵吾 教授 (早稲田大学)
- 高重吉邦 氏 (富士通株式会社)
- 尾澤章浩 氏 (Route H)

〇協賛企業:富士通株式会社、Route H、ベネッセGlobal Learning Center
〇協力大学:慶應義塾大学、東京大学、早稲田大学
〇協力企業:株式会社 竹中工務店、株式会社 日建設計、三井不動産 株式会社、三菱地所 株式会社、森ビル 株式会社+一般財団法人 森記念財団、隈研吾建築都市設計事務所、株式会社アンジェロ・ゴードン・インターナショナル・エルエルシー、ゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパン有限会社、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社、モルガン・スタンレー・キャピタル株式会社

2018年3月26日月曜日

ハーバード不動産デザイン学科におけるキャリアについて

無事に3セメスターやらJapan Trekが終わり、最後のセメスターに取り組むまでブログ更新が滞っていました。すみません。

このブログを読んでくださって、何人かの方々からも問い合わせをいただいたので、まずは留学におけるキャリアについて、僕のケースとクラスメートなどのことをまとめておきたい。(個人の回想的になっているので、将来は削除するかもしれません。あしからず)

自身のキャリアについて

僕のバックグラウンドは純粋な建築設計で、出身地である高知で叔父が家業としてアトリエ系の事務所をしている。もちろん自宅も叔父が設計したので、ごくごく自然な流れで建築家を目指すようになった。
艸建築工房(ソウケンチクコウボウと読みます)
http://www.sou-af.jp/

早稲田大学の建築学科、大学院(石山修武研究室)へと進み、意匠系の道を歩みながらも、やはり家業として設計業の良し悪しも感じながらの進学であったため、自身で建築を通じた社会的インパクトと持続可能な業について、悶々と悩み試行錯誤を学外では繰り返していた。

ひとつの出逢いは、大学の先輩である佐藤オオキさんが立ち上げたデザインオフィスnendo。
http://www.nendo.jp/

nendoの黎明期に目白の小さな事務所で奮闘するオオキさんやその仲間からデザインビジネスについて、First Handな経験を得るとともに、自身もデザインビジネスが好きであることに気付いた瞬間だった。

そして「10年後にしたいことが今あるなら、迷わず今行動することの大切さを思い知った、もちろん日本で出来なければ、日本を出てもいい」ことを。

その後、自身のデザイン事務所を興して、名刺一枚のデザインからブランディング、CIを行ったり、建築やプロダクトのデザインを行うなどデザインビジネスの試行錯誤をくりかえしていた。

転換期だったのはスリランカでのリゾートホテルの設計。
スリランカでの不動産開発を行う日本人に連れられて、たまたま叔父と親交があった建築家Geoffrey Bawa氏とのご縁も手伝って、現地入りし、取り組んだ仕事だった。
結局はその後のリーマンショックの影響や新興市場での不動産開発の難しさなどで、プロジェクト自体はSD Review賞をいただいたにも関わらず、ウワモノのお金が集まらず、未完のプロジェクトとなった。
ただ、この時に苦渋を舐めたことと、不動産開発についてのインスピレーションを得たことが今の自分につながっている。

「もし、自分自身があの時、クリエイティブな不動産事業者だったらどうしたか?」

この問いに応えるには、自分が不動産事業者になってみる必要があった。

その後はSD Review賞も手伝って、鹿島建設設計本部のコンペチームからオファーをいただくことになる。
コンペチーム後は都市計画グループという不動産開発とUrban Planningを国内外で実施するチームで厄介になった。
ご存知かもしれないがSD Review賞は鹿島のトップでもあり、鹿島出版会を盛り立ててきた鹿島昭一氏と槇文彦氏、そして代官山ヒルサイドテラスのオーナーである朝倉氏により立ち上げられた展覧会だ。

鹿島建設は、建設はもとより設計、不動産開発も行っていたため、上流から下流まで規模感のある不動産開発に現場レベルで関わらせていただき、大変貴重な経験をさせていただいたし、PFIやJVの現場レベルでの動きもなんとなく身につけることができた。

実は大手ゼネコンはバブル期には海外のデザイン的知識の獲得と開発スキームの導入のためにかなりの数の留学支援を出していた。僕の上司もその一人でGSDの卒業生だったため、いろいろとインスピレーションをいただいた。
だが、残念ながら僕の時期は社費留学などの制度がなかったため、奨学金を獲得する道しかなかったというのが正直なところ。
結果的にはフルブライトへの応募を通じて、想像以上に得られるものが多かった。フルブライトについては別投稿で詳しく書きます。

また、鹿島での仕事と平行して行っていたのが、スリランカ以来の不動産業へのリベンジだった。おかげで都内某所でいくつかの土地を仕込み、みずから銀行と交渉、設計をし、コンストラクション・マネジメントを行い、リーシングも行うといった、上流から下流へのオール・イン・ワン・パッケージを経験した。
最初のプロジェクトははっきり言って、毎日リスクと闘いながら寝られない日々が冗談じゃなく2年ほど続いたが、今となっては喉元過ぎればなんとやらである。

こういった事業性から建築や都市に対してアプローチする方法以外に、僕のもうひとつのテーマでもある非営利型の街づくり活動も続けていた。
石巻での集団移転コミュニティプロジェクトと拠点創出のためのプロジェクトだ。
http://kawanokami.com/

これらの活動がひとつとなって、時期も熟したと判断し、留学に踏み切った。


留学後のキャリアについて
ハーバード、不動産デザイン学科での授業内容やプログラム概要はすでに執筆した記事を参考いただくとして、では実際に学生たちはどのようなキャリアを歩むことになるのか、そして僕自身のキャリア形成についての考え方について記載しておきたい。

まず、不動産デザイン学科に来る学生はバックグラウンドが非常に多様で、ファイナンス出身、アトリエ出身、建設会社出身者がいることは書いた。

僕のクラスメートや前後の年代の卒業後キャリアは概ね下記

・デザインオリエンテッドのデベロッパー(Related Company, Gemdale, Hines...)
・デベロッパー/アーキテクト(DDG, ASH... )
・Private Equity(Morgan Stanley, Angelo Gordon, Blackstone, Goldman Sachs)
・アセット・マネージャー、ブローカー(Pension Fund, CBRE, JLL )
・コンサルタント(Boston Consulting..)
・起業(自国での家業、不動産業を拡大)
・その他テック系スタートアップ(とくに投資、ブロックチェーン関連)

この中でもPrivate Equityやアセット・マネージャーという業界が建築出身者、あるいは日本の不動産、ゼネコン出身者には馴染みがないのではないだろうか。
だが、実はこのキャリアが一番人気。

米国を中心とする不動産開発においては、じつはReal Estate Private Equityというファンドスキームが大きな役割を担っていることが事実であることを、恥ずかしながら僕もはじめて知った。
日本においてもリーマンショック前後にMorgan StanleyやFortressが様々な大型ホテルやビルを買収したことを覚えている方もいらっしゃるとは思うが、具体的に彼らのビジネスがどうなっていて、建築的Add Value、付加価値とどう関わっているのかを知れたのは不動産デザイン学科での授業のおかげである。

米国や香港を中心とする不動産投資のビジネスに透明性が高い市場では、Private Equityがスター・アーキテクトであるFrank GehryやRenzo Piano、安藤忠雄を雇って、攻め攻めのプロダクトを創り上げる事例もあるほど。そしてファームは少数精鋭のチームであることが多い。

僕自身が個人レベルで行っていた不動産オーナー件デザイナー業を国際的な文脈のもとにスケールするために欠けていたのは、このフレームワークだったのだと気付かされた。

では具体的にどうやって、このフレームワークを手に入れるか。

米国留学ではサマーインターン制度が非常に重要で、キャリア形成のための試行錯誤にとって貴重な機会でもある。もちろん大学の名前をレバレッジするなら、この機会である。

僕の場合は結果からいうとMorgan Stanley CapitalとAngelo GordonというReal Estate Private Equityで修行を積ませていただき、実際のディールにも関わることができ、自身の限界をかなりプッシュすることができた。サマーインターンのアプライ・プロセスや成果については別途。

この経験をもとに、卒業後の進路を現在固めているところである。
もちろんクラスメートも一流の企業でのサマーインターンを通して一回りも二回りも成長し、帰ってくる。そしてお互いに情報交換をし合うことで、さらに各業界でのキャリア形成についての理解を深めたり、人脈を厚くしてゆくことを留学生活後半に向けて続けてゆくことになる。

このPrivate Equityという手法をどう活用するか、構想はいろいろあるし、昨年から具体的に動きだしていることも含めて、また時期をみつつ発信してゆきたいと思う。










2017年4月22日土曜日

2017 Spring, 2nd semester 授業紹介

1月の怒涛のアジアトレック、夏期インターンへの応募やインタビューなどに忙殺されているうちに、すっかりケンブリッジにも春が訪れてしまった。

若干振り返りながらの投稿となるが、2017, Spring Semester(2nd Semester)で僕が取っている授業を紹介しておきたい。
今学期はデザインスクール(GSD)の雰囲気や授業方式、基準にも慣れてきたこともあり、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の授業やケネディ政策大学院(HKS)との合同授業も取っている。


1) Advanced Real Estate Finance + Building and Leading Real Estate Enterprises and Entrepreneurship by Frank Apeseche

前学期のRick Peiserによる不動産ファイナンスと開発の基礎を一通りマスターした学生に提供されるアドバンストなクラスと、不動産やReal Estate Private Equity Groupを起業するための指南を行うクラス。

不動産デザイン学科のCo DirectorであるFrank Apesecheによる授業であり、Frankの実績ははっきりって目もくらむほど。バークシャーグループ(Private Equity)のCEOや不動産系ベンチャーのChairmanを歴任し、またREITの売却も行い、BlacksoneやGoldman Sachsとのパートナー事業も手がけている。

それだけに授業では、業界図を解りやすく、実話を交えて伝えてくれ、また実務での意思決定思考やリスク分析を披露してくれる。もちろんケーススタディも豊富で、ゲストスピーカーに至っては自身の事業パートナーを紹介してくれることから、生々しい話も伺える。

授業というよりは起業家育成塾のような雰囲気で、学生のコミットメント度合いも非常に高い。もちろん不動産事業計画(Pro Forma)が素早く作成できることが前提のうえで、投資判断を仰ぐAssignmentが多く出題される。

最終的には、Real Estate Enterpriseをつくるためのビジネスプランを策定するか、不動産ビジネスについてのリサーチペーパーを書くというFinal Projectを各人がつくることとなる。

僕自身、かねてよりスタートしていた自身の不動産ビジネスをどうスケールさせるかを明らかにしたかったこともあり、Office Hoursも含めてFrankからは徹底的に知識を吸収している。それでも溢れる溢れる。笑

それほど濃密な内容なのだ。実際、来期も聴講のみ行いながら、知識の総ざらいをしたいと思えるほどだ。

・AcquisitionとDisposition
・Cycle Cycle Cycle!
・Waterfallとよばれる、不動産投資体には欠かせない利益分配の仕組みづくり
・REITやInstitutional Investor
・Berkshire Methodと彼が名付ける投資判断のためのショートカット
・Private Equity 概略
・実際のディールでのIRRやMultiple
・企業の成長とOrganization

などなど、デザインサイド出身者からは、不動産の世界を支配している仕組みにどっぷりと浸かることができる。

自身の到達目標は、やはりスタートアップから事業がスケールする流れを習得し、業界の相関図やプレイヤーを把握することにある。
当然、Final ProjectもHow to Scale My Businessとしたい。

自身のディールについて惜しげもなく語るFrank Apeseche教授






















2) Public and Private Development by Jerold Kayden

こちら官民両方の観点から都市開発を紐解くHKSと共同で開催されるロングラン授業。すでに30年近く教鞭をとる人気教授のJerold Kaydenによる安定感のあるクラス。
彼はもともとは法律家出身で、官民両方の開発や都市政策に様々な形で関わっている。学生を巻き込むことと、冗談を飛ばすのが生きがいである。

この授業はGSDの不動産デザイン学科と都市計画学科(Master of Urban Planning)の学生の大半が取る授業であり、かつ都市政策や公共公益という趣旨からケネディ政策大学院の学生も取っている。

不動産開発に必要な不動産ファイナンスの基礎、つまりBack of Envelope計算から入り、都市開発やAffordable Housingの普及にインセンティブを与える都市政策を外観する。我々不動産デザイン学科の学生にとってはファイナンス・パートは安心して聞いていられる。これも前学期のRickのおかげである。
助手のKristenも素晴らしいフォローをしながら、学生全員がしっかりとついてこられるようにとても解りやすいReview Sessionを提供してくれる。

授業は座学、ディスカッション、ゲストレクチャー、共同プロジェクトが実にいい割合で組み合わされている。

ゲストスピーカーには、PublicサイドからはNew York City Planning Officeの実務家やChair、Torontoのウォーターフロント開発の責任者など錚々たる顔ぶれが揃う。Private側からはAffordable Housingにフォーカスしたユニークなデベロッパーや、PPPを行うデベロッパーなど社会に不動産開発を通じてどう貢献するかを実践している方々。

そして、このクラスのハイライトは何と言っても共同プロジェクトの「Land Disposition」だ。
Boston市が所有するFinancial Districtの実際の土地を払い下げるに際して、入札と評価のロールプレイを行う共同プロジェクトだ。

クラスをPublicチームとPrivateチームに分けて、Privateチーム(入札デベ)がプラン、事業計画、入札金額を盛り込んだプロポーザルをPublicチーム(評価側)に提出し、最終的にどのチームを落札者として選ぶかをロールプレイする。
チームはもちろん、学生のバックグラウンドを考慮してバランスよく組まれる。ファイナンス、都市デザイン、都市計画、公共政策というタレントからなるチーム


自身の目標としては、官民での都市開発のベストプラクティスについての理解を深めておきたい。またPublic Benefitを提供できる不動産開発とな何なのかについての視点を、官民両側の視点から考察しておきたい。
ネットワーク面でも都市計画やHKSの学生達との交流が楽しみである。

ゲストスピーカーとKayden教授






















3) Real Estate Private Equity by Nori Gerardo Lietz

僕としてははじめてとなるハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の授業。
実はPrivate Equityの世界では泣く子も黙る名物教授であり、パワフルウーマンであるNori教授の超人気授業。

それだけに、HBS生以外のいわゆるクロス・レジスター(領域横断)を希望して授業を受ける学生はくじ引きによって授業を取れるかどうかが決定される。後で知ることになるのだけど、実はくじ引き以外にもレジュメを教授に前もって提出することになっているため、レジュメとともにクラスの多様性やバランス、バックグランドを考慮して学生が選ばれているようだ。
ありがたいことに、結構な倍率を勝ち抜いて、晴れて受講生となることができた。

HBSの授業はほぼ全てがケース・スタディ・メソッドに沿っており、HBS生のブログにも詳しいが、毎授業で実際のケースを読み込んだうえでのディスカッションが中心となる。さらに、不動産に関連したプライベート・エクイティの領域を扱うことから、不動産ファイナンス、Proformaと呼ばれる事業計画とリターン分析のモデルを検討したうえで、投資判断を話し合うことになることから、授業に挑むための準備にはかなりの時間と学習が必要だ。

そしてNoriの名物であるCold Call、いわゆる抜き打ち指名で発言を求められることが多々ある。例えば、日本の不良債権が話題になるケースであればもちろん日本人が当てられるし、Blackstoneなど実際の企業出身者がクラスにいる場合はその学生達からの意見をクラスに取り入れる意味でもCold Callされる。
これを切り抜けなければ減点されてしまうというルールもあるが、実際は教育としてもいい緊張感があり、非常に効果的だ。
そして、彼女の愛情のある導入のお陰で、笑いと痛快さがクラスを包む。

Nori教授は自身もプライベート・エクイティ投資会社を持っており、不動産投資アドバイザーとしても知らない人は業界にはいないくらいの有名人であるため、ゲストスピーカーの豪華なこと。そして、裏話も歯に衣着せぬものいいで伝えてくれる。

前学期はデベロッパーとして自分のビジネスをスケールすることくらいしかアイデアがなかったが、アジア・トレックで様々なプレイヤーに触れ、またNoriの授業を取ることができ、プライベート・エクイティを使った不動産開発を活用することも見えてきた。それだけ自分にとっては背伸びをしなくてはいけない環境であり、濃密でタフな授業であるが、開眼させてくれた授業でもある。

評価は授業へのコミットメント(参加)が50%であとはAssignmentとFinal Projectで50%の配分が基本。
Final Projectはずばり、Start Your Own Private Equityだ。二人組で投資家へのピッチブックを作り込み、最終的にプレゼンをするという実践的なFinal Projectだ。

この授業をSurviveすることができれば、大きな自信となるとともに、自分のネットワークも広がるだろうことを実感する日々。


目標としては、HBSのケース・メソッドに慣れたうえで、投資判断をできるようになること。そしてピッチブックを英語で作成できるようになること。また、PEの世界のプレイヤーや戦略について少しでも見識を身につけること。



有名な闘技場型のHBS教室 真新しいネームタグ。Nori教授は一人ひとりの顔とバックグランドを覚えている




















4) Market Analysis and Urban Economics by Raymond Torto

不動産のマクロとミクロのマーケット分析と経済を基礎から学ぶ授業。不動産デザイン学科長年の名物教授であり、CBREの元、伝説的リサーチャーであるRay Torto教授による授業。
もう御年75歳とのことと、大病を患われたこと、また独特のボストン訛りの英語から、少々聞き取りづらいのが難点だが、不動産マーケットを知り尽くしたRayの教えは示唆に富む。そして普遍的な法則について核心をつく授業が展開される。

授業では、実際にCBRE EAやRCA等のデータ分析ソースを使用しながら、自分でマーケットを分析する。

ボストンやニューヨーク、サンフランシスコは昨今不動産が高値を更新して活況を呈しているマーケットだが、今後の予測はそう明るいものでもなさそうだ。かと言って毎年家賃や学費が値上げされる米国のファンダメンタルズの強さからすると、まだまだ海外からの資本が投入されている。

今後、不動産マーケットはどうなってゆくのか、人は何処に住まうのか。Live-Work-Playが実現できる場所や雇用が創出されつづける場所はどこなのか。様々な視点がリサーチャーの揺るぎない理論のもとに展開される。

はっきりいって、この理論を学ばずして、いままで不動産投資をしてきたことにちょっとゾッとする瞬間もあった。このマーケット分析手法の基礎を体得すれば、今後も一生つかえる知恵だと思う。

到達目標としては、マーケット分析をフェアな目で行える技量を身につけること。世界の不動産業界の趨勢であるCBREを始めとするソースの活用に慣れること。


コメンテーターとしても活躍したRay Torto教授

家賃相場と空室率をあらわすサイクル








































以上が今期の授業紹介。非常に濃い内容と新しいチャレンジを含むため、やりがいを感じながらもついてゆけるのだろうかと不安にもなる。が、領域横断的で実践的な体験こそ、ハーバードの得意とするところなので、楽しみながら挑んでゆきたい。

2017年2月26日日曜日

東北大震災・復興プロジェクト・スペシャルトーク@ハーバード・デザインスクール

東北復興、石巻川の上プロジェクトについてのスペシャルトークをハーバードGSD(デザインスクール)にて開催
(English Follows)




これは、不動産とデザインの融合を軸にした自身のProfit Oriented活動とともに、重要なライフワークの柱であるNon for Profit Oriented活動のひとつ。


まちは、従来型の不動産開発だけでは決して面白くはならず、ボトムアップ型の市民活動によるパブリックプレイスがあってこそ、魅力的なものになると考えている。

とくにこれからの日本の都市ようにシュリンキングしてゆく場所においては。



今回幸運にも自身の手がけたコミュニティセンターと復興プロジェクトのあらましをハーバードでプレゼンする機会を得られたので共有しておきたい。



復興団体の「川の上プロジェクト」事務局長であり長年の同士である三浦先生がハーバードGSDにいらしてくださった。

石巻・川の上プロジェクトの詳細についてはこちら



講演タイトルは

Learning from Tohoku, Japan: Disaster Recovery and Community Design
- A case Study of Ishinomaki Kawanokami Project-



















スペシャルトークにはハーバード学内外からも様々な分野の学生達が集まり、真剣に耳を傾け、そして内容の濃い議論が交わされた。

デザインスクールからは地方再生や災害復興をデザインで解決しようと励む学生、都市開発と災害について研究する学生、都市計画を志す学生が集まり、ケネディ政策大学院やタフツ大学からは現役官僚の方々、そして建設業界から政策を学びにくる方々が集まった。

後援いただいたJapan GSDの皆様もあらためて感謝申し上げたい。












総勢20名、三浦さんがコーヒーのお供に仙台から持ってきてくれた萩の月も、一瞬でなくなる笑








ディスカッションの中でとくに盛り上がった項目やコメントは下記


・ボトムアップでの巻き込み、チームの力の重要性
・地元の有力者と若手混成チームの取組み手法
・その他地域、日本以外に適用可能なモデル
・東北は震災がきっかけで立ち上がった。では他の疲弊した地方は?
・「講」と呼ばれる相互補助システムが機能した。
・講はCo-workとして現代でも通用するのでは。
・百俵館のデザイン手法を地域にも広げる。










何より、人のちから、デザインのちからで復興とともにコミュニティが醸成されている成果を、この場で発表し、議論できたことを一日本人として誇りに思います。
世界に広がれ!川の上モデル!!




川の上プロジェクトのハーバード発表を記念しての一枚









Welcome to Harvard Miura san, the leader of the Kawanokami recovery project in Tohoku, Japan!


We were grateful to have pretty much diverse 20 students from all over Harvard GSD, HKS and Tufts Univ. We made a presentation on the process of the recovery, workshop and community planning. Also, had vibrant discussions with talented students. Special thanks to Japan GSD for their support.
Surprisingly, the Japanese sweets which Miura san brought from Tohoku, Japan vanished fast!


I would like to share thoughts and points made in our discussion.

- Significance of the bottom-up approach and team work
- Implementation by the mixed team comprised of local leaders and youthful powers.
- Applicable model to other areas both in Japan and worldwide
- The disaster became the trigger for them to revitalize, then how about other shrinking area in Japan?
- Mutually dependent system named "Co" worked very well
- The concept "Co" can be interpreted as Co-work in our time
- Design scheme of Hyappyokan is worth spreading among the area



On top of that, as fellow Japanese, We were very much proud that this wonderful opportunity allowed us to share our achievement through the project with Harvard community.

Hope the Kawanokami model inspires the world!!!





スペシャルトークの成功と充実した学生との議論の後はお約束のJohn Harvard Brewery




2017年1月30日月曜日

1st semesterの振り返り

怒涛の1st semesterが終わり、その後家族のケアや自身の東京でのプロジェクト、アジアトレックの関係で投稿が遅くなってしまったが、あらためて整理のために振り返りを行っておきたい。

以下、1st semester全4つの授業についてそれぞれの成果と達成できたこと、2nd semesterも継続目標のこと、気付き等々を記しておきたい。また、公開可能な範囲で最終成果物もアップロードしておくので、どうぞご自由にご覧ください。また、使用希望の場合はメッセージかメールにてご連絡をいただいた場合は許可をします。著作権は筆者に属しますので無断転用、使用はお控えください。




1) Real Estate Finance and Development by Richard Peiser
この授業の集大成は、不動産開発とファイナンスの基礎理論を組み合わせて、不動産開発プロジェクトのピッチを一からつくりあげ、投資家向けのプロジェクトレポートにまとめるというもの。

敷地の選定からプロダクト・タイプ(不動産用途)、ファイナンス・ストラクチャーや投資出口を含め、すべて各自で設定し、オリジナルのプロジェクトをつくりあげる。僕の場合は自身のTokyoでのMicro Mixed Useプロジェクトを取り上げた。

現実に進行するプロジェクトであることで内容が具体的になることと、国際基準での投資レポートをつくってみたいという想いから選定。Peiser教授からもクラスメイトにとっても学びの多いプロジェクトとなるため、是非進めるようにとの後押しもいただいた。

Final Submissionはこちら 

結果的にはフルスコアをいただけた。今回のプロジェクトピッチの作成は米系コンテクストの中で客観的に自身のプロジェクトを分析し観察することができたため、非常に有用な成果物となった。
2016 fall semester中、最もハードなクラスだったが得られるものも当然大きかった。
はっきりいって、この手の授業が日本の建築学科、都市計画学科にあるべきと思うし、総合大学に設置されている建築系大学院には是非ともMBAとのコラボ含め、クラスの設置をお願いしたい。


成果としては下記:

・英語環境での不動産ファイナンス、開発の基礎づくりを行うことができた。
・ハーバードの特徴であるケース・メソッドに慣れることができ、また得られるものも大きかった。
・Peiser教授からULI書籍の翻訳について、進めてみてはどうかという許可を得られた。実際に翻訳を行うには日本の出版社からの許可も必要であるため、営業活動に移りたい。


継続課題としては下記:
・引き続き、ケース・メソッドでの議論により積極的に関わるための英語スキル磨き
・不動産ファイナンスの実務に向けた知識の精査
・小技ではあるが、エクセルのモデリング時の使いこなし法の取得

以上。





2)Form + Finance by Bing Wang & David Gamble
Real Estate and the Built Environmentの学科長であるBing Wang教授の目玉授業である。最終成果物として建築のデザイン(Form)と不動産ファイナンス(Finance)の両側面から考案したプロジェクトを3人一組のチームで創り上げ、発表する。
クリティークはBing Wang教授をはじめ、David Gamble先生、HBSからはWilliam Poorvuが参加し、実業界からも3名が参加するという錚々たる顔ぶれ。

僕等のチームは、MITに隣接した敷地を選定。
現在、NovartisやファイザーといったBio techがMITやハーバードとのコラボ目的で広大なコーポレートキャンパスを築いている環境に隣接する。現在は使われていない工業用倉庫を活かして、コミュニティホテル、SOHO、トラディショナルオフィス、Co working スペース、そしてレジデンスへとコンバージョンするプロジェクトだ。
チームメンバーのバックグラウンドも非常に面白い。

一人は中国大連出身のコーネル大学のホテル学専攻でJLL東京オフィスのインターン経験者
もう一人はレバノン出身のエンジニアで実家がホテルを経営、ドバイでも働いていた

この顔ぶれから、建築系バックグラウンドは僕のみで、あとは基本は企画やファイナンスのバックグラウンド。それぞれメンバーが忌憚のない現実的なアイデア発信や議論が行えるため、現実味のある充実したプロジェクトとなった。

Final Presentationはこちら

クリティークからのフィードバックも非常に熱い議論となった。特にミクスト・ユース用途については、この近辺のホテルニーズやポテンシャルを考えて、あえて用途をホテルに絞るのがよいのではないかという議論も出た。確かにプログラムや投資判断もシンプルになる。しかし、あえてミクストユースへのコンバージョンに挑戦したことで、知見も深まったし、これから都市部での有休不動産の活用ではミクスト・ユースという観点が欠かせないと考えている。

他のチームの発表もどれもよく練られており、非常に刺激になった。面白いのは、大半のチームがCo Workingをコンポーネントに取り入れていることだった。やはり、時代のニーズを反映しているものと思われる。

こちらも日本のデザイン系大学院には是非取り入れてほしい授業の1つだ。この視点があればこそ、不動産業界に入る学生にクリエイティブな視点を与えることができるし、設計業界に入る学生にとってはデベロッパーや投資家の判断基準がわかるため、効果的な提案が可能となるだろう。




成果としては下記:

・フォームや用途がどのように不動産に付加価値を与えるかを習得できた。
・不動産投資プレイのさわりを理解できた。Core, Core+, Added Value, Opportunistic


継続課題としては下記:
・William Poorvu氏の主宰するコンペへの提出が冬休み期間のAsia Trekと重なりできなかったため、来年は挑戦したい。

以上。





3)Real Estate and City Making in China by Bing Wang

このクラスは個人的には自分の研究テーマを定め、そして深めてゆくうえでも最も役立った授業だ。学科長Bing Wang教授の指導が非常に明快なことと、アジアと米国のコンテクストに熟知している彼女だからこその視点がありがたい。
僕のテーマは
「Challenges in International Real Estate Investment in China」

いわゆる成熟マーケットで地位を築いてきたデベがなぜ新興都市に進出するか、そしてそこで遭遇したチャレンジと乗り越えた方法を明らかにする。
ケースとしては、森ビルの国内六本木ヒルズ、そして上海のShanghai World Financial Centerとの比較、また鹿島による虎ノ門タワーズと瀋陽春河地区開発の比較、またShui on LandによるHong Kongの開発と上海新天地プロジェクトの比較。

最終論文はこちら

このファイナルペーパーは結果的に、教授からもHigh Passをいただき、今後さらに研究を継続することを強く薦められ、僕としてもCross Boarder Investmentを将来的には行うことを見越しているため、目下継続中である。このペーパーを通じて、森ビルやアジアの投資ファンドとの繋がりもでき、ある意味では道を開いてくれた頼もしい成果物となった。

成果としては下記:

・国際投資、とくに新興市場におけるリスクとリターン、判断に関わる知識の習得
・中国において政府と民間、海外勢がどのようにinteractionしてきたかを理解
・自身の今後の研究の骨子が見えてきた
・デベや投資ファンドと対話するための基本知識が得られた


継続課題としては下記:
・25ページのペーパーだったが、Literature Reviewについてはさらに広く文献をあたり、レビューをしっかりと行いたい。
・ペーパーを執筆する上での英語のライティングスキルの向上を目指したい。

以上。





4)Cities by Design by Peter Rowe and Alex Krieger
名物教授二人による授業であり、毎度語られる都市デザイン講義は聞いていて、とてもワクワクするものだった。
また、各都市のセッション後にはチームプレゼンがあり、学生が都市デザインの歴史やプラン、実現された都市空間についての調査報告を行う。

僕は上海チームだったが、都市デザイン学科の学生や他のMdesの学生とも共同作業ができ、ディスカッションも盛り上がったため、非常に楽しめた。
テーマは上海のSuper Tall Buildingが集結するPudong, Lujiazui地区の近代の変遷と現在の都市空間の成功と影。

プレゼン中、上海と東京の都市空間の比較や問題点指摘をしてみたものの、東京はアメリカ人にとっては混沌とした状態や雑踏に凄みを感じるらしく、東京の問題点である職住分離による多様性の欠如などは認識していない様子だった。

最終プレゼン、自身のパートはこちら



成果としては下記:

・都市デザインにおける基本知識を米系文脈の中で理解できた
・都市環境の事例と成り立ちを知ることで、今後どのような観察眼を持つべきかを理解


継続課題としては下記:
・都市デザイン領域は定性的な判断や成果が多いため、切り取る側の視点やスタンスにどうしても引き寄せられてしまう。定性的な観察と定量的な観察をどう組み合わせてゆくかを探求する必要がある。

以上。



写真は学期の無事の終了を祝してのアフタヌーンティ@ボストン公共図書館。教授と学生を囲んでの和やかな一時であり、お互いの健闘を称え合った。



2016年11月8日火曜日

Mid-term 終了!

先々週にFirst Semesterの山場だったMid-term期間(テストや課題中間提出)が終了した。
米国スタイルの授業やAssignment(課題または宿題)について行くので精一杯だった今学期の前半が無事に終わった。

我が不動産デザイン学科はポストプロフェッショナルということもあり、ネットワーキングを行うイベントが、毎週のように開催されていて、学生は皆、学業に励む傍らで精力的にネットワーキングに出かける。
不動産は「ロケーション、ロケーション、ロケーション」と言われるが、同時に、「ネットワーキング、ネットワーキング、ネットワーキング!」なのである。皆社会人経験があるので社交に長けた同級生が多く、本当に刺激になるし、お互いに誘い合うので自然と実業界、アカデミア問わずにネットワークが広がることが嬉しい。

各授業とも濃密かつ集中力が必要なので疲れ果てるが、その後にはネットワーキングに出かけ、一杯飲んでリフレッシュ、また図書館に戻りAssignmentをこなし、リーディングを行い、場合によってはグループワークを深夜まで続ける日々が続いた。

慣れない環境の中で最初の山場となるMid-term期間を勉強仲間とともに乗り切れたことに今は何より、安堵している。Semesterの折り返し地点を無事に通過といったことろか。

僕のMid-term戦歴と学びを備忘録として記したい。


1)Real Estate Finance & Development
Mid-termは2つ。ファイナンスモーゲージテストと不動産鑑定評価課題(Appraisal Project)

まずは我らが不動産デザイン学科の必須授業であり根幹の1つであるクラスのファイナンスモーゲージテスト。つまりは不動産デベが資金調達する際に銀行からいくらを、どれくらいの金利で、どのくらいの期間借りれば、プロジェクトが成り立つかを計算するテスト。またDCF法や投資評価指標の基本も抑えるテスト。

日本での不動産投資では見てこなかった指標や手法も身につけることができ、不動産ファイナンスのメカニズムの基礎を理解する上では非常に役立ったテスト。
ただし、相当にハードなテストであることは間違いない。満点を取れる学生は毎年2人程度とのことで、今年も例年どおりとのこと。自身の感触は80%あたり。


次に不動産鑑定評価(Appraisal Project)。これはグループで行うプロジェクトで、ボストンの特定のエリアと不動産を選択して、その不動産評価を行うもの。
このプロジェクトに上記のファイナンスの基礎知識を応用しつつ、最終的な不動産評価レポートを作成することが目的である。実際の街が対象なので、色々な意味で盛り上がる。
自分が投資家なら、レジ系にするかリテール系、はたまたAクラスオフィスを投資対象とし選ぶか。。

我々はチーム自体が多国籍ということもあり、各国に帰ってもマーケットや扱い方に共通点があるレジデンス系を選択。下記に最終レポートの一部を公開する。

マクロ、ミクロレベルでのマーケット・トレンドの調査から始まり、実際の物件訪問、比較対象物件の調査を経て、最終的にスプレッドシートを作成。DCF分析まで至る。
DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)で明らかになるのは、その物件が自分たちの期待する投資を満足するためには、一体いくらで購入する必要があるか?というもの。
物件取得後から物件売却までの収益を、期待する利回りで現在価値まで割り引くのだ。

チームワークにも恵まれ、学びの多いプロジェクトとなったし、この指標如何によって不動産のデザイン余地などにももちろん影響するわけなので新たな武器を手に入れた感じだ。
こちらは結果が出揃い、我々のチームはほぼフルスコアを獲得することができた。

ボストン、ノースエンド地区をプロジェクトに選んだ

マクロ、ミクロレベルでのマーケット分析

対象物件の調査

Comparable(比較物件)の調査と比較

DCF法による分析


2)Real Estate and City Making in China
一般的にリサーチ・セミナー形式と言われるこの授業は少数精鋭で中国新興都市におけるリサーチを各学生が行い、Mid-termにその成果を授業で発表する。
Bing Wang教授と二人三脚でリサーチを行い、約1時間の持ち時間の中でクラスに対してリサーチを共有することから、さながら学生個人が授業の一部を行っているようなものだ。

僕にとってもほぼはじめての英語での長時間プレゼンだったし、リサーチもボリュームが多かったことから、Mid-termの山場の1つであった。

僕のリサーチテーマは「Challenges in International Real Estate Investment in China」だ。
以前から興味のあった分野で、新興都市で如何に我々日本企業が不動産開発や投資を軸としながらも都市生活の創造に貢献できるかを探るものだ。
「Why do we invest in China?」というシンプルな問いかけを軸に、中国に投資してきた森ビルや鹿島のケーススタディをもとに、そのチャレンジと成功、そして困難をどう乗り越えたかをあぶり出す。


森ビルの例では上海ワールドファイナンシャルセンターと六本木ヒルズのオフィス棟を比較しつつ、簡易な投資対効果等を比較した。

鹿島の例は担当だったこともあり、瀋陽でのマスタープラン策定から端を発した、VankeグループとのJVによる分譲マンション事業の採算と、虎ノ門タワーズレジデンスの採算を簡易試算をもとに行った。

結果は統計や実経験に基づいたケーススタディが好評で、クラスのメンバー、そして教授からもポジティブなフィードバックがいただけた。英語でのプレゼンではあったものの、プレゼン英語を極力シンプルで伝わりやすいもので一旦組んだうえで、当日はテキストを読まずに、自分の言葉で話せたこと。そもそも統計やケーススタディの組み立てを明快に出来たことで研究内容がストレートに伝わったようだ。

今後の研究についても、このテーマを深掘りしてよいとの快諾を得られ、はじめての充実感を味わった。

以上が山場となったMid-termと振り返り。